南米アルゼンチン最南端の街ウシュアイア。そのすぐ裏山に広がる「マーシャル氷河(Glaciar Martial)」は、街から徒歩でアクセスできる珍しい氷河スポットです。
静かな森を抜け、急な登りを歩き続けた先には、ビーグル水道やウシュアイアの街並みを一望する絶景が待っています。氷河の規模こそ控えめですが、「世界の果て」で体験するハイキングは格別です。
この記事では、私が実際に歩いた体験をもとに、アクセス方法・見どころ・注意点を紹介します。
※料金などの情報は2025年3月時点のものです(1ペソ=0.144円、1USドル=150円で計算)。アルゼンチンはインフレが激しいため最新情報をご確認ください。
マーシャル氷河の概要
マーシャル氷河はウシュアイアの中心部から約7kmに位置し、標高約1,000mの場所にあります。氷河自体はペリト・モレノ氷河などと比べると小規模ですが、街から直接歩いて行ける点が大きな魅力です。
天気が良ければ、展望台からはウシュアイアの街とビーグル水道、さらにチリのナバリノ島まで見渡すことができます。
氷河は「世界の果て公園(Parque del Fin del Mundo)」の中にあり、入場には10,000アルゼンチンペソ(約1,100円)が必要です。園内には複数のハイキングルートが整備されており、日帰りで気軽に楽しめるコースが揃っています。

アクセス方法|徒歩・タクシー
マーシャル氷河へのアクセスは 徒歩またはタクシー です。公共バスは走っていません。
- 徒歩の場合
- ウシュアイア中心部から公園入口まで約7km(片道約2時間)
- 入口から氷河直下の展望台まではさらに往復2〜3時間
- 街から歩いて往復すると合計20km以上、所要6〜7時間
- タクシーの場合
- 街から入口まで10分程度 ・体力や時間を節約したい人におすすめ
私は街から歩いて往復しましたが、標高差約800mを一気に登るので想像以上にハードです。観光で時間が限られているなら、入口までタクシーで行き、園内を歩くのが現実的でしょう。
実際に歩いてみた体験レポ
ウシュアイアの街からスタート
私が歩いた日は天気がよく、街からもマーシャル氷河がよく見えました。

静かな森の散策路
街を出発すると、住宅街やのんびりとした郊外を抜け、やがて森の散策路に入ります。

ここから氷河入り口までは森の中を歩く散策路が続いています。観光客は少なく、地元の人が犬を散歩させている程度。静かな自然歩きを楽しめました。

森の中は小川や渓流沿いの道が続きます。

人はほとんどおらず、鳥の声や水の音だけが響く静かな道です。

2時間ほど歩くと「世界の果て公園」の入口に到着。入場料を支払い、園内へ進みます。

世界の果て公園へ
世界の果て公園内にはハイキングルートがいくつかあります。私はまず「氷河展望台(Mirador del Glaciar)」を通って「マーシャル氷河直下の展望台(Mirador de los Condres:地図では青ルート)」へ行き、帰りに「街に近い展望台(Mirador de las Lagunas:地図ではオレンジルート)」へ行きました。

氷河展望台(Mirador del Glaciar)
入口からまず向かうのは「氷河展望台」。冬はスキー場の広い道を登り、渓流沿いの坂を上がると氷河が姿を現します。

氷河展望台(Mirador del Glaciar)に着きました。氷河自体は小さいですが、雪を抱いた山肌と白い氷が間近に見えます。

氷河直下の展望台(Mirador de los Cóndores)
さらに登って「氷河直下の展望台(Mirador de los Cóndores)」へ。登りは急な箇所もあります。

氷河の直下まで来ました。岩場の手前まで行けますが、これ以上行くには岩を登らなくてはいけなくて危険です。氷河を間近では見ることはできないようです。

特に看板はないですが、おそらくこのあたりが展望台でしょう。周りにはハイカーが座って景色を眺めていました。
ここから振り返ると、ウシュアイアの街とビーグル水道を一望。達成感のある眺めでした。

街を見下ろす展望台(Mirador de las Lagunas)
帰り道にもう一つの展望台へ立ち寄りました。ここからは街がより近くに見えます。

下山
Mirador de las Lagunasからすぐ下にある、公園入口からは別ルートを通って森の散策路へ戻り、ウシュアイアまで歩いて帰りました。

往復で約7時間、しっかりとしたトレッキングになりました。
マーシャル氷河ハイキングのまとめと注意点
マーシャル氷河ハイキングは街から手軽に行ける一方で、以下の点に注意が必要です。
- 装備:歩きやすい靴必須。強風や雨に備え、防寒着・レインジャケットも持参。
- 体力:街から往復すると20km超。入口までタクシーを利用すると無理なく楽しめる。
- 道迷い防止:公園内は整備されていますが、街からの散策路は分岐が多いので「Maps.me」などオフライン地図アプリを活用がおすすめ。
- 天候:パタゴニアの気候は変わりやすく、晴れていても突然の雨や強風があります。
まとめ|街歩きから裏山の氷河へ
マーシャル氷河は、氷河そのものの迫力は控えめですが、街から徒歩でアクセスできるユニークな氷河スポットです。
森の静けさに包まれながら歩き、展望台から振り返るウシュアイアの街並みとビーグル水道の眺めは忘れられない体験になるはず。時間と体力に余裕がある旅なら、ぜひ徒歩で挑戦してみてください。
「世界の果て」の街歩きとはひと味違う、パタゴニアの自然を身近に感じられるハイキングです。
コメント