2022年9月末から10月初旬にかけて、北アルプス・扇沢から上高地まで6泊7日の大縦走をテント泊で歩きました。
ルートは「裏銀座縦走路」をベースに、雲ノ平や黒部五郎岳、大キレット、奥穂高岳まで盛り込んだ贅沢なプラン。初日はガスに包まれましたが、それ以降は好天に恵まれ、毎日が絶景の連続でした。
本記事では、ルート概要と実際の行程を日ごとにまとめています。裏銀座縦走を検討している方、北アルプスのロングルートに挑戦したい方の参考になれば幸いです。
※記載内容は2022年10月当時のものです。料金・山小屋の営業状況・登山道の最新情報は各自でご確認ください。
北アルプス縦走6泊7日ルート概要
裏銀座縦走路は北アルプスの高瀬ダムから烏帽子小屋、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳、槍ヶ岳を経て上高地へと歩くルートで通常3〜4日かかります。今回裏銀座縦走を歩くにあたり、扇沢からスタートし、雲ノ平や黒部五郎岳を経由し、大キレット、奥穂高岳を通って上高地を目指すという贅沢なプランで歩きました。
DAY1:扇沢→針ノ木峠→蓮華岳→七倉岳→船窪小屋キャンプ場
DAY2:船窪小屋キャンプ場→船窪岳→烏帽子岳→烏帽子小屋キャンプ場
DAY3:烏帽子小屋キャンプ場→野口五郎岳→水晶岳→雲ノ平キャンプ場
DAY4:雲ノ平キャンプ場→黒部五郎小舎→黒部五郎岳→黒部五郎小舎キャンプ場
DAY5:黒部五郎小舎キャンプ場→三俣蓮華岳→槍ヶ岳山荘キャンプ場
DAY6:槍ヶ岳山荘キャンプ場→北穂高岳→穂高岳山荘キャンプ場
DAY7:穂高岳山荘キャンプ場→奥穂高岳→前穂高岳→上高地

山と高原地図では「鹿島槍・五竜岳」「槍ヶ岳・穂高岳 上高地」をまたいでいます。
山と高原地図 鹿島槍・五竜岳 2025 [ 昭文社 地図 編集部 ]
山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地 2025 [ 昭文社 地図 編集部 ]
今回も全泊テント泊をし、基本的に食糧は持参しましたが小屋でランチを食べられる時は食べました。また大キレットを通過するのでヘルメットを持参しました。
アクセス
スタート|扇沢
信濃大町駅からはバス、室堂からはアルペンルートでアクセス可能です。
新宿からのバスも運行されています。
扇沢には有料・無料の駐車場があり、車でのアクセスも可能です。
ゴール|上高地
上高地から公共交通機関を使う場合はバスとなります。バスは各方面へ出ているので便利です。
上高地はマイカー規制のため車では入れず、沢渡や平湯といった駐車場からシャトルバスに乗る必要があります。
北アルプス縦走6泊7日|日別レポート
DAY1:扇沢→針ノ木峠→蓮華岳→七倉岳→船窪小屋キャンプ場
この日は一日天気が悪く、全くもって景色は見ることができず、雨に降られることもありました。またこの日のルートはアップダウンが激しく、非常に過酷な出だしとなりました。
ただこの日の唯一良かった点は雷鳥に7回会えたことです。ガスの中何も見えない時に姿を現す彼らのかわいらしい姿には非常に癒されました。雷鳥たちに出会えなければこの日は扇沢へ引き返していたかもしれません。

スタートは扇沢駅のすぐそばの針ノ木岳登山口です。

晴れていたら素晴らしい景色だったでしょう…。

船窪小屋でテント場の受付をします。テント場は小屋からさらに15分ほど歩いたところにあります。この日自分一人だけかと思っていましたが、翌朝離れたところにテントを一張目にしました。

DAY2:船窪小屋キャンプ場→船窪岳→烏帽子岳→烏帽子小屋キャンプ場
この日からは天気が良い日が続きました。テント場から槍ヶ岳が望めました。

船窪岳周辺は道が崩れていますが補修されていました(2022年時点)。

この日もアップダウンは激しかったものの、天気が良いと前日ほどの過酷さはありません。

途中立山剱岳がよく見渡せました。

烏帽子岳に近づくと登山者の数が増えてきました。

烏帽子小屋でテント場の受付をしました。テント場はほぼ埋まっており、小屋から離れている場所に数カ所空きが残っているのみでした。前日の船窪小屋テント場とは打って変わって賑やかなテント場でした。人気の山域に入ったことを肌で感じました。

烏帽子小屋
https://kita-alps.yamagoya.gr.jp/area05/329.html
DAY3:烏帽子小屋キャンプ場→野口五郎岳→水晶岳→雲ノ平キャンプ場
この日も天気がよく気持ちのいい稜線歩きを楽しめました。朝日に照らされる野口五郎岳までの緩やかな稜線は絶景でした。

水晶小屋で荷物をデポして水晶岳を目指します。

水晶岳からの景色は圧巻でした。遠方に槍ヶ岳、反対側には立山剣岳、そして眼下には雲ノ平が見渡せました。個人的にこの山行での一番の絶景ポイントを選ぶとしたら水晶岳山頂からの景色です。

雲ノ平へ着きました。私にとって雲ノ平は二度目ですが、個人的には雲ノ平が北アルプスで一番のお気に入りの場所です。かつて住んでいたニュージーランドを思い出す景色もさることながら、洗練された雲ノ平山荘の雰囲気は他ではなかなか味わえないものです。
そんなこともあり裏銀座縦走路から外れて雲ノ平で一夜を過ごすことにしました。この日山荘もテント場も非常に混んでいました。みなさん雲ノ平の美しさを味わっているようでした。

DAY4:雲ノ平キャンプ場→黒部五郎小舎→黒部五郎岳→黒部五郎小舎キャンプ場
この日は裏銀座縦走路から外れ、黒部五郎岳へ向かいます。三俣山荘でコーヒーブレイクをしました。三俣山荘も洗練されていて、サイフォンコーヒーを味わえます。

正面に黒部五郎岳が見えてきました。ここから急な下りが続き、憂鬱な気分に陥りました。なぜなら翌日同じ道を登らなくてはいけないことがわかっていたからです。

えんじ色の黒部五郎小舎に着きました。受付をすませ、テントを張ります。テント場は小屋から数分のところにあります。必要な荷物だけ持って黒部五郎岳を目指します。

黒部五郎小舎
https://www.sugorokugoya.com/kurobe/
あたりはガスに包まれてしまいました。しかし紅葉や黒部五郎カールの風景は絶景でした。

山頂からは一瞬だけカールが見下ろせました。再びガスに包まれ何も見えなくなったのでテント場に戻ります。

DAY5:黒部五郎小舎キャンプ場→三俣蓮華岳→槍ヶ岳山荘キャンプ場
前日歩いてきた道を戻ります。過酷な急登を覚悟していたのですが、思いの外きつくはありませんでした。三俣蓮華岳で裏銀座縦走路へ合流です。

三俣蓮華岳から双六岳は非常に混んでいました。天気がよく週末と重なったことから、このシーズン一番の混雑だったようです。双六台地から見る槍ヶ岳の山容は圧巻でした。

双六小屋から槍ヶ岳を目指します。一気に人が減りました。槍ヶ岳が次第に近づいてきます。

槍ヶ岳山荘に着きました。テントを設営し、槍ヶ岳山頂を目指します。

山頂からは360度のパノラマビューが見渡せました。山頂は賑わっており、みなさん槍ヶ岳登頂や景色の感動を互いに分かち合っており和気あいあいとした雰囲気がありました。私はなるべくなら人混みは避けたいですが、こんな雰囲気もいいなと感じました。

槍ヶ岳山荘
https://www.yarigatake.co.jp/yarigatake/
DAY6:槍ヶ岳山荘キャンプ場→北穂高岳→穂高岳山荘キャンプ場
槍ヶ岳を後にして大キレットを目指します。二度目となる大キレットは今回反対側から歩きます。二度目ではあるものの、危険箇所では緊張感がありました。

北穂高山荘でコーヒーブレイクをしました。テラス席からの景気は圧巻です。

北穂高岳を経由し穂高岳山荘を目指します。このルートも気が抜けないものでした。

穂高岳山荘へ着きました。受付をすませテントを張ります。
穂高岳山荘
https://www.hotakadakesanso.com/
DAY7:穂高岳山荘キャンプ場→奥穂高岳→前穂高岳→上高地
この日は朝から雨が降っており強い風が吹いてました。上高地まで下山予定でしたが、奥穂高岳を経由するか涸沢を経由するか悩みました。この天候で安全面を考えれば涸沢経由を選択すべきでしたが、奥穂高岳登頂は捨てがたく結局後者を選ぶことにしました。
奥穂高岳山頂ではかなり強い風が吹いていました。写真を撮るのも一苦労でした。しばらくすると雲が流れて青空が見え始めジャンダルムが姿を表しました。勢いよく流れる雲の中に浮かぶその姿に見とれました。天候が良ければジャンダルムまで行きたかったのですが、今回は断念です。

空が見えるものの相変わらず風は強く、吊り尾根も気が抜けませんでした。

前穂高岳へ寄り道しました。相変わらず風は強かったものの、流れる雲と奥穂高岳の姿は圧巻でした。

山の上の景色を惜しみながら上高地へ下山しました。これにて7日間の裏銀座縦走は終了です。

まとめ|裏銀座縦走を振り返って
扇沢から上高地まで歩いた7日間の縦走は、距離・標高差ともにハードでしたが、その分得られる景色と達成感は大きなものでした。特に野口五郎岳の稜線、水晶岳からの大展望、雲ノ平の広がり、黒部五郎岳のカール、そして槍穂高の稜線は一生の思い出に残ります。
裏銀座は「遠くて長い」からこそ、静かな稜線歩きと北アルプスの奥深さを味わえるエリア。体力と時間が許すなら、ぜひ雲ノ平や黒部五郎岳まで足を延ばしてみてください。
この記事が次の山行計画のヒントになれば嬉しいです。
こちらの記事もおすすめです。
コメント