南米パタゴニアの大自然を体いっぱいに味わえるトレッキングルート―それがトレス・デル・パイネ国立公園の「Oサーキット」です。
私は2023年3月、7泊8日かけて全長約127kmのOサーキットを歩きました。氷河、峠、強風、そして息をのむ絶景…。準備から実際の行程まで、体験者だからこそ語れる情報をまとめます。
この記事では、必要な装備・食料・費用のリアルな実例を紹介。これから挑戦する人が「何を持って行けばいいのか」「どのくらい費用がかかるのか」を具体的にイメージできる内容にしました。
Oサーキットの体験レポートはこちら
➡【体験記】パタゴニア・トレス・デル・パイネOサーキット7泊8日|日別ルートとキャンプ場レポート
トレス・デル・パイネOサーキットとは?|概要と特徴
トレス・デル・パイネ国立公園には代表的なトレッキングコースが2つあります。
- Wトレック:4〜5日で歩ける人気ルート
- Oサーキット:公園を一周する7〜8日間のロングトレイル

地図だと赤のルートがWトレックで、黄色のルート→赤のルートを歩いて一周するのがOサーキットです。
OサーキットはWトレックを含み、氷河や山岳地帯をより広範囲に歩けるのが特徴です。距離は約127km、総上り下りは約4,800m。体力は必要ですが、パタゴニアの大自然を丸ごと味わえるコースです。

まずは予約が必須!
Oサーキットを歩くには「キャンプ場や山小屋の事前予約」が必須です。予約がなければ歩くことはできません。
ハイシーズン(12月〜3月)は人気のキャンプ場は数ヶ月前から埋まってしまうことがあります。
私は1ヶ月前にOサーキットのキャンプ場を予約しました。しかしすでに人気の安いキャンプ場は埋まっており、高額なキャンプサイトを予約せざるを得ず、総額約7万円をキャンプ場料金として支払いました。自分の希望の日程・金額で予約したいならなるべく早く予約することは必須です。
詳しい予約手順や注意点はこちらの記事で解説しています。
➡ トレス・デル・パイネOサーキットキャンプサイトの予約方法
私が歩いた7泊8日Oサーキット(概要)
歩いた時期・天候
私が歩いたのは3月上旬。夏の終わりですが、夜は冷え込みました。特に最高地点のジョン・ガードナー峠(標高約1,200m)では雪もあり、防寒具は必須でした。
また、1日の中で「晴れ→雨→強風」と天気が目まぐるしく変わるのがパタゴニア。レインウェアは常に手の届く場所に入れていました。

ルート概要と行程表
Day | 行程 | 特徴 |
---|---|---|
1 | プエルト・ナタレス → セントラル → セロン | 草原エリアを進む |
2 | セロン → ディクソン | 湖畔に面した美しいキャンプ場 |
3 | ディクソン → ロス・ペロス | 森の中を抜ける山岳ルート |
4 | ロス・ペロス → グレイ | ジョン・ガードナー峠越え、氷河の大絶景 |
5 | グレイ → パイネ・グランデ | 氷河と湖の展望 |
6 | パイネ・グランデ → クエルノス(フランス谷往復) | 大迫力のフランス谷 |
7 | クエルノス → セントラル | 湖沿いのハイキング |
8 | セントラル → トーレス展望台往復 | 最後に象徴のトレス(塔)を見て下山 |
Oサーキットの日別体験レポートはこちら
➡【体験記】パタゴニア・トレス・デル・パイネOサーキット7泊8日|日別ルートとキャンプ場レポート
必要な装備リスト
トレス・デル・パイネ国立公園でのトレッキング装備は、基本的に日本での登山に必要なもので大丈夫です。WトレックやOサーキットを歩くのであれば、日本のアルプスを数日歩くのに持っていく装備で考えていいでしょう。ここではあくまで基本的な装備を紹介します。
靴・バックパック
岩場を歩くことはほぼないので靴はアルパインブーツでなくて、トレッキングシューズで十分。私はトレランシューズで歩きましたが、問題ありませんでした。
1週間分の食糧やテントなどのキャンプ道具を持たなくてはいけないので、バックパックは50〜60Lあると快適だと思います。レインカバーは必須です。
私のバックパックは45Lしかなく、テントやマットは外付けにして対応しました。ただ、重量バランスが崩れるので50〜60Lをおすすめします。
衣類・防寒具・レインジャケット
- 速乾性のTシャツなどのベースレイヤー(着るもの+予備1枚)
- アンダーウェア(着るもの+予備1枚)
- 靴下(履くもの+予備1、2組)
- ハイキングパンツ(着るもの+予備1枚)
- ミッドレイヤー(シャツやフリースなど)
- 防寒具(ダウンジャケット、手袋、ニットキャップなど)
- ゴアテックスのレインジャケット上下
- 帽子
夏でも朝晩は一気に冷え込みます。特に標高の高い峠では氷点下近くになることも。ダウンジャケットや手袋など、本格的な防寒具が必須です。
キャンプ道具
- テント
- 寝袋
- マット
いずれもプエルト・ナタレスのアウトドアショップやトレス・デル・パイネ国立公園内のキャンプ場でレンタルできます。キャンプ場でのレンタルの方が料金は高いです。
調理器具・小物
- バーナー
- ガス缶
- クッカー
- カトラリー(スプーン・箸など)
- コップ
ガス缶は現地で購入可能です。
その他あると便利なアイテム
- ドライバッグ:濡れたくないものを入れたり荷物の整理に
- ヘッドライト:夜明け前から歩き出すなら必須
- サングラス、日焼け止め
- ウォーターボトル:ペットボトルでも代用可
- アーミーナイフ:チーズやサラミを切るのにあると便利
- 浄水器:キャンプ場の水はそのまま飲めますが念のため
- 速乾性のタオル
- 歯磨きセット
- 石鹸・シャンプー:シャワーあり
- モバイルバッテリー、充電ケーブル
- ファーストエイドキット:絆創膏やまめ対策など
- トイレットペーパーやティッシュ
装備&軽量化の工夫
荷物をなるべく軽くしたいのであれば、
- テントや寝袋は持参せず全て現地でレンタルするかロッジに泊まる
- 食事はキャンプ場の売店で買ったりロッジで食べたりする
という方法が考えられます。ただしかなりの出費が必要になってきます。
食料計画と持っていって良かったもの
実際に持参した食料
7泊8日のOサーキットに持って行った食料はこんな感じです。

- 朝食:コーヒー、果物(りんごorバナナ)、パンorトルティーヤ、スープ
- 昼食:グラノーラ、クッキー
- 夕食:インスタントラーメンorパスタ+スープ、パンorトルティーヤ、マッシュドポテト
- つまみ:チーズ、サラミ、ピーナッツ
- 酒:ビール、ワイン
正直途中で食料を買うことはありませんでしたが、ちょっと少なかった気がします。食材はほぼ余ることはありませんでした。
おすすめ食料ベスト3
ここでは実際に私が7泊8日のOサーキットに持って行った食材からおすすめを紹介します。
- インスタントマッシュドポテト
水に溶かすタイプのマッシュドポテトは、結構ボリュームがあるのでお腹を満たすのにおすすめ。 - パスタ+スープ
スープに入れてスープパスタにすれば、重くなりがちなソースを買わなくていいです。 - サラミ、チーズ
たんぱく質を摂るためにおすすめです。
かかった費用の目安
費用(日本円換算) | |
---|---|
キャンプ場利用料金(7泊) | 73,650円 |
国立公園入場料(4日以上) | 7,400円 |
プエルト・ナタレスからの往復バス料金 | 4,500円 |
8日分の食料 | 6,500円 |
公園内での飲食代 | 2,400円 |
Oサーキットにかかった費用合計 | 94,450円 |
私がOサーキットを7泊8日歩くにかかった費用はおよそ10万円です。1週間山を歩くだけで10万円もするとなると安くはありません。
パタゴニアは物価が高いですが、特にキャンプ場利用料金が高いです。私は歩く1ヶ月前にキャンプ場を予約したため希望のキャンプ場に空きがなく、1泊185USドル(約28,000円)する「プレミアムキャンプサイト」に2泊することになりました。
一番安いキャンプ場を予約したとしても7泊で約5万円はします。しかもこれにはそれまでの移動費・宿泊費は含まれていません。Oサーキットを歩くにはかなり出費が必要なのは覚悟しておいたほうがいいです。
Oサーキットの予約についてはこちら
➡トレス・デル・パイネ国立公園Oサーキットキャンプサイトの予約方法
その他のOサーキットにかかる費用や準備などはこちら
➡プエルト・ナタレス宿・スーパー・準備ガイド|トレス・デル・パイネのトレッキング前に知っておきたいこと
キャンプ場の設備と様子、水事情
キャンプ場の設備
トレス・デル・パイネ国立公園のキャンプ場の設備は非常に充実しています。売店があり、場所によってはカフェもあります。
日本の山小屋やキャンプ場と大きく異なるのは「ホットシャワーがある(一部のぞく)」「トイレが水洗」という点です。なのでトイレットペーパーは「予備」を持っていくくらいでいいです。
基本的にゴミは持ち帰りですが、場所によってはゴミ箱が設置されています。
キャンプ場の様子
受付
キャンプ場に着いたらまずは受付に行きましょう。

売店
キャンプ場には売店があり、お菓子やカップラーメンなどが購入できます。

トイレ・シャワー
基本的にホットシャワーがあり(ロス・ペロスは水シャワー)、トイレは水洗です。

炊事スペース
キャンパーの炊事スペースは必ずあるので助かります。

キャンプサイト
どのキャンプ場も広々していて開放的です。

水は飲める?
トレス・デル・パイネ国立公園のキャンプ場の炊事場の水はそのまま飲めるようです。ただ少し白濁していた時もあったので、気になる人は浄水器を使うのをおすすめします。
私はOサーキットでは使うことはありませんでしたが、浄水器「ソーヤーミニ」を持参していました。コンパクトで場所も取らないので、海外トレイルを歩くときにはおすすめです。
まとめ|Oサーキットに挑戦するなら
Oサーキットは体力も費用もかかる挑戦ですが、その分だけ得られる感動は格別です。
「どんな装備が必要か」「どんな食料が便利か」を事前に知っておくことで、トレッキングの快適さは大きく変わります。
そして何よりも――キャンプ場の予約を早めに済ませることが成功のカギ。
この記事を参考に、自分に合った準備を整え、パタゴニアの大自然に挑戦してみてください。
予約方法の詳細はこちら
➡ トレス・デル・パイネOサーキットキャンプサイトの予約方法
その他のOサーキットにかかる費用や準備などはこちら
➡プエルト・ナタレス宿・スーパー・準備ガイド|トレス・デル・パイネのトレッキング前に知っておきたいこと
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