先日2泊3日の山行でハイパーライトマウンテンギアのUnbound55を使ってみました。
この記事では「ハイパーライトマウンテンギアUnbound55を2泊3日の山行で使った感想」を紹介したいと思います。
Unbound55を買った経緯
私はここ数年グレゴリーのスタウト45(旧モデル)を使用していました。重さは1.2kgほどでありながら、所感は45L以上のキャパシティはあったように思います。
数日の山行、1週間のテント泊アルプス縦走、そしてスペイン巡礼などあらゆる旅で活躍する私の「相棒」でした。軽い分腰ベルトのメッシュが薄くペラペラなのは気になりましたが、結構気に入っていました。しかし世界一周旅行中アフリカの地で、バスの荷室で雑に扱われご臨終となりました。
とは言えスペイン巡礼で使いながら「そろそろ買い替えだな」とは感じていました。結構ほつれや破れは見られていたので。そこで目につけていたのはハイパーライトマウンテンギアのバックパックです。
私はULバックパックを使ったことはありませんが、荷物の軽量化はしたいと思っていました。またゆくゆくは歩きたいアメリカの縦断トレイルを念頭に入れて、ハイパーライトマウンテンギアのUnbound55をアメリカから個人輸入しました。
他のバックパックではなくUnbound55にしたのは、「より軽やかに、できるだけ長く歩くことに特化したバックパック」というコンセプトとそのスタイリッシュな見た目ですね。個人輸入して関税含めると約7万円して冷や汗ものでした…。
なので私は「UL初心者」です。そういう視点で正直に感想を書いています。
Unbound55の見た感じ

重さ
私が購入したUnbound55(L/Black)は公称だと34.6oz(1023.24g)ですが、実測983gでした。かろうじて1kgを切っています。持ってみて正直「軽い」と思いました。
しかし「UL」バックパックとしては重い方ですね。Unbound55は背中の支柱と腰ベルトを外すことができ、763gまで軽量化できます。
素材
DCH(ダイニーマ・コンポジット・ハイブリッド)素材で、軽量で耐久性・防水性に優れています。
正直な感想は「頑丈そう」でした。生地は分厚く硬めで、耐久性は期待できます。布のように「ふにゃ」と形が崩れません。例えが悪いですが「分厚い紙袋」のような感じです。なので中に雑に物を入れても形が崩れません。
音は「バリバリッ」という低い音がします。個人的には「小屋やテン場で響くだろうな」と懸念しています。
背面には特にクッションがあるわけではありません。

容量
メイン収納部
筒形の寸胴ではなく、紙袋のような「箱型」の構造です。
55Lだとバックの口から底まで90cmあります。私は今までロールトップタイプのバックパックを使ったことがないので、「一番下に入れたものを取り出すの大変だな」と感じました。
また内ポケットがありません。私はいつもウォーターキャリーを内ポケットに入れていたので、入れる場所を考えなくてはいけません。またハイドレーションチューブ用の穴もUnboundにはありません。Southwest、Windrider、Junctionには内ポケットとチューブ用の穴があります。

外ポケット
公称では外ポケットの容量は9Lです。Southwest、Windrider、Junctionが9.8Lなので、それらより0.8L外ポケットの容量が少ないことになります。
フロントポケットのメッシュは伸び縮みする素材で、上からも下からもアクセスできます。またバックパックの底にもメッシュのポケットがあり、歩きながらさっと取り出したいものを入れるのに便利です。


サイドポケットは浅い作りになっていますが、その分広いので複数のアイテムを入れることができます。

またウエストベルトのポケットも容量が大きいので便利です。

また至る所にディジーチェンがあるので、自分好みのカスタマイズやギアの外付けも可能です。

Unbound55を2泊3日の山行で使ってみた
今回梅雨が早くも開けた7月に祖母・傾縦走を2泊3日で歩き、Unbound55を使用しました。正直暑いし、虫が多いし、景色見えないしで山行としては最悪でしたが、Unbound55の使用感がわかりよかったです。
今回はテント泊でベースウエイトは7kgで、食糧と水で12、3kgほどの重さになったと思います。
サイズ感
個人輸入するにあたり自分の背面長を測ってサイズを選びました。私の背面長がだいたい52センチ(20.47インチ)なのでLを選びました。
「サイズがピッタリ」というわけではありませんでしたが、特に違和感はありません。
私は実際に背負うことなく購入しましたが、購入を検討しているなら背負い心地も含めて店で一度試してみることをおすすめします。
背負い心地
正直「決して背負い心地がいいわけではない」というのが感想です。
最初から10kg以上の重量を背負ったからかもしれませんが、肩や腰に重さを歩き始めてすぐに感じました。従来のバックパックとは違い、軽量化のため体にあたる部分のクッションが薄いので仕方はありません。私にとって数ヶ月ぶりのテント泊山行で体力が落ちていたのもあります。慣れが必要なようです。
背中の蒸れはさほど気になりませんでした。どうやら私の背中の形のせいかバックパックとの間に隙間ができていました。というか全身汗だくになるような暑さだったので、背面の暑さは気にならなかったのかもしれません。
ただ背負い心地というのは個人差があって、それまでどんなバックパックを使っていたかにもよると思います。
気に入った点
素材が分厚く頑丈で形が崩れない
素材が分厚く頑丈で、中の物が少なくても、また中に物を雑に入れようと形が崩れないのがいいですね。よくポットなんか固いものや隙間が空いているのって外から見てわかるじゃないですか。え?荷物の入れ方が下手なだけだって?はいそうです…。
またロールトップ式である上に、サイドにドローコードがあるのでさまざまな容量に対応できるのはうれしいです。
外ポケット大容量
今まではすぐに取り出したいものなどは、天蓋に収納していました。今回Unboundを買って懸念だったのが、「すぐに取り出したいものをどこに入れるか」でした。でも外ポケットの容量があるので、そんな心配はなかったです。
タイトなフロントポケットですが、結構いっぱい入ります。この時は大きなメインパートにレインジャケット上下、コンパーチブルパンツの膝下部分、行動食を入れたジップロック、コンビニで買ったパン、手前の部分にはテッシュを入れたジップロックと浄水器(Sawyer mini)が入ってます。それだけ入っていながら、すっきりしています。

サイドポケットは広くて浅いです。それぞれ、サンダルと水ボトル、テントのポールとスリーピングマットが入りました。


ウエストベルトのポケットも大きいので、スマホやヘッドライト、サングラスを入れてもまだ余裕があります。
さらにはバック底のポケット。行動食やタオルなどを入れておけば、歩きながら取り出せます。
見た目がスタイリッシュ
なんと言っても見た目のスタイリッシュさでしょう。縦長でスタイリッシュで、型崩れもしません。フロントポケットのメッシュもタイトで中身が見えにくいので、ごちゃごちゃ感もありません。

気になる点
収納スペースが深い
収納スペースが縦長で深いので底の方の荷物を取り出すのが大変です。
晴れていれば一旦全部取り出せるのですが、雨の日は考えて収納する必要があります。特にテントはどこに収納するか考える必要がありそうです。
内ポケットがない
収納スペースに内ポケットがないので、ウォーターキャリーを入れるスペースがありません。水を入れたウォーターキャリーは重いので、荷重がかたよらないように入れる工夫が必要です。
またハイドレーションチューブの穴がありません。でもバックの入口から出せば使えなくもないですね。

正直な感想
はっきり言ってUnbound55は背負い心地、使い勝手が決していいわけはありません。
ある程度重さを軽くすれば背負い心地は気にならないと思います。背負い心地よく使いたいのであれば55ではなく40で十分かもしれません。
「じゃあ7万円もしたUnbound55のよさって何なんだろう…?」
背中や腰にUnbound55の重みを感じながら自問しました。そしてはっとしました。
「九州の山を2、3日歩くために買ったのではない」
いつか海外のロングトレイルを歩きたい。その冒険の相棒としてUnbound55を買ったのです。おそらくたった1回、3日の山行ではその良さはわからないのかもしれません。
私がまだUnbound55を使いこなせていないのでしょう。これからさまざまな旅で使いこなすことができれば、タフな旅の相棒になってくれることは間違いないと思います。
背負い心地は…そのうち慣れるでしょう(笑)。てか他も軽量化しなくては、ですね。
Unbound55は身軽ながらもあらゆる旅に対応できる相棒
私は2、3日の山旅も1週間のトレイルも数ヶ月の世界旅行も同じバックパックを使いたいと思っています。まさに私のかつての相棒のスタウト45がそういう存在でした。Unbound55もそういう存在になりうる気がします。
例えば最小限の荷物だけを持って機内持ち込みで旅へ出る。旅先で食糧や燃料を入手して、ハイキングへ出かける。そういう旅がUnbound55ではできます。というか私はそういう旅を想定しています。基本は身軽に動くことができながら、トレイルを歩く準備もできているというのはまさに理想の相棒です。
そういう旅なら40でもある程度可能かもしれませんが、「あらゆる旅に対応できる幅が広がる」という点で55が有利になると思います。海外ハイクだけでなく、雪山などの荷物が多くなるシチュエーションにも対応できます。大は小を兼ねる、というか。40と55の重さの違いは60g程度ですからね。
おわりに
この記事では「ハイパーライトマウンテンギアUnbound55を2泊3日の山行で使った感想」を紹介しました。
「背負い心地、使い勝手が決していいわけではない」と言いながらも買ってよかったと思います。単に私が使いこなせていないだけだと思います。まだ買ったばかりですからね。これからガンガン使いこなしていくのが楽しみです。というか7万もしたので元取りますよ(笑)。
ただUnbound55は誰にでもおすすめできるようなものではないと思います。一癖ありますからね。
このレビューが参考になるかはわかりませんが、「よし買おう」と思った方はこっちも見てみてください。
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