軽量ソロテントとして人気の Six Moon Designs Lunar Solo(ルナーソロ)。購入して最初に立ちはだかるのが「シーム処理(防水処理)」の壁です。
私は近所に広い屋外スペースがなく、自宅の6畳間でシームグリップを使って作業してみました。実際にやってみると、場所と時間の確保は少し大変だけれど、作業自体は意外と簡単。
この記事では、自宅でのシーム処理の方法・コツ・注意点を、実際にやってみた経験をもとに詳しく紹介します。
Six Moon Designs Lunar Soloとは
Six Moon Designsはアメリカのアウトドアメーカーで、Lunar Soloは軽量ソロテントの代表モデルです。

Lunar Solo 商品スペック
定員:1人(1.5)
重量:Gray 690g/Green 720g
素材:フライ 20D シリコンコーティングポリエステル/底面 40D/ネット 20D No-see-Um
重量:Gray/Green
商品ページ:Six Moon Designs 公式サイト/Moonlight Gear/Amazon
重量わずか約740g、設営もトレッキングポール1本でできるという、ULハイカーには人気のソロテントです。
ただし、購入時点では「防水シーム処理」がされていません。つまり、縫い目(シーム)から雨が染みてくる可能性があるため、使用前に自分で防水加工を行う必要があります。
シーム処理とは?なぜ必要なのか
シーム処理(シームシーリング)とは、テントの縫い目に防水剤を塗って雨水の侵入を防ぐ作業のこと。テントの生地自体は防水ですが、縫製部分だけはミシンの針穴から浸水するリスクがあります。
Six Moon Designs のテントは軽量化のため、あえてシームテープを省いています。そのため、ユーザー自身で「シームグリップ」などの専用剤を塗るのが前提。しっかり処理しておけば、雨の日でも安心して使えるテントになります。
シーム処理をする場合はSix Moon DesignsではGear Aid社のSeamGrip+SIL(旧:McMETT社のSIL NET)を推奨しています。私もこのシームグリップをネットで購入しシーム処理を行いました。

シームグリップでの防水処理を自宅で実施してみた
私の場合、周囲に作業できる屋外スペースがなかったので、思い切って 自宅の6畳和室で実施しました。
設営手順はこちらの動画を参考にしました。
ペグの代わりにダンベルを使い、テントをできるだけピンと張ります。ただダンベルではテントをピンと張るのは難しかったです(私がLunar Soloの設営に慣れていないということもあります)。4.5畳の部屋だとかなり厳しいですが、6畳ならなんとか収まりました。

シームグリップはネットで購入(SeamGrip+SIL)。乾燥には3〜6時間かかるので、天気の良い日や風通しの良い時間帯にやるのがおすすめです。

作業自体は1時間ほど。準備したのは以下の通りです。
- シームグリップ(SeamGrip+SIL
42g/Lunar Soloには1本ギリギリ)
- 小さな刷毛(SeamGrip+SIL
には同封)
- ティッシュ・雑巾(垂れたとき用)
- あれば手袋(シリコンが手につくので推奨)
実際の手順:動画を参考にやってみた
シーム処理の方法はSix Moon Designsの公式YouTubeで紹介されています。
私はこの動画を参考に、上から下へ作業しました。
塗る順番はこんな感じ
- 換気部まわり
- 前面の縫い目
- 側面の縫い目(2ヶ所)
- パッチ(2ヶ所)
- 底の短辺 × 2
- 底の長辺
- テント内部床&バスタブ(床立ち上がり部)
チューブから直接縫い目に出し、刷毛で薄く伸ばしていくイメージ。隙間を埋める感覚で塗るのがコツです。


使い始めは「たっぷり塗らないと不安」になりがちですが、厚く塗ると垂れて跡が残ります。しかも後でシームグリップが足らなくなってしまう可能性も。
とは言え気をつけていても、どうしても垂れてしまいます。動画でも「見た目よりも機能を重視して」と言っていたので、私も気にせず続行。






最後テント内部床とバスタブ(床立ち上がり部)ではシームグリップが足らなくなり、一部シーム処理ができませんでした。最初にシームグリップを使いすぎたようです。
作業後6時間ほど窓を全開にして乾燥。乾燥後に触ってみると、しっとり固まっていて安心感があります。垂れた箇所がそのまま固まっているので見た目はイマイチですが、雨天の山行にも使えそうです。
ちなみにシーム処理を施すことでテントの重量は36g増加しました。

やってみて分かった注意点・コツ
実際にやってみて感じた注意点とコツをまとめます。
- シームグリップ1本(SeamGrip+SIL
42g)ではギリギリ
→ 最初に使いすぎると後半(テント内部床とバスタブ立ち上がり部)が足りなくなります。 - 垂れたらすぐ拭き取る
→ 乾くと跡が残ります。 - 手や床にもつく
→養生&手袋推奨。 - 換気をしっかり
→ シリコン系のにおいが強いので、窓全開+扇風機で対応。 - 見た目より機能重視
→ 塗りムラがあっても気にしない。しっかり防水できていればOK。 - ピンと張ることが最重要
→ 張りが甘いと、隙間にうまく塗れません。また付いてほしくない場所に付いてしまいます。 - 時間と場所が必要
→乾燥させるのに3〜6時間。
結論として、「垂れない程度に塗っていくのがちょうどいいが、きちんと隙間を埋めないと意味がない。」というのを感じました。
実際に使ってシーム処理を実感
後日信越トレイルを5日間歩いた時に、Lunar Soloを使用。ありがたいことに(?)激しい雨に打ち付けられることが何度かあり、雨天時のLunar Soloの実力を体感しました。

かなり激しい雨でしたが、シーム(縫い目)から漏水することはありませんでした。さすがに長時間の雨だったので隙間から水滴が滲む程度はありましたが許容範囲でしょう。しっかりとシーム処理はされていました。
ただLunar Solo自体の問題としてシングルウォールであるために、内部結露がかなり発生しました。雨が多く湿度が高い日本では避けられない課題なようです。
まとめ:Lunar Soloのシーム処理は「簡単だけど時間と空間がカギ」
Six Moon Designs Lunar Solo のシーム処理は、やってみると意外と簡単です。1時間ほどの作業で済みますが、3〜6時間の乾燥時間を含めると半日はかかります。
しっかり防水処理されたテントは、雨の日でも安心。しかも「自分で仕上げた」という達成感もあります。
ポイントまとめ
- シームグリップは1本でギリギリ
- テントはピンと張る
- 見た目より機能重視
- 時間と換気に余裕を持つ
自宅でも工夫次第で十分に作業できます。手をかけたテントは、不思議と愛着も湧いてきます。次の山旅がますます楽しみになるはずです。




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