北アルプスの最北部にそびえる朝日岳。雪倉岳、白馬岳とつなげて歩く1泊2日の縦走ルートは、アクセスの遠さから訪れる人も少なく、静かな山歩きを楽しめます。
2023年7月下旬、不安定な天候のなかでも可憐な高山植物や富山湾に沈む夕陽に出会うことができました。本記事ではその山行の記録を、写真とともにお届けします。
朝日岳の場所・ルート概要・データ・装備
朝日岳の場所
朝日岳は北アルプス北部に位置し、富山県と新潟県の県境にある標高2418mの山です。日本海に近く雪深いため、その雪解け水によって育まれた高山植物が豊かです。
また登山口までのアクセスも遠いため、北アルプスの他の山域に比べ人が少なく静かな山歩きを楽しめます。
ルート概要・データ
朝日岳・雪倉岳・白馬岳縦走1泊2日データ
【1日目】
蓮華温泉→朝日岳→朝日小屋(テント泊)
距離:11.3km
上り:1463m/下り792m
コースタイム:7:08
【2日目】
朝日小屋→雪倉岳→白馬岳→白馬大池→蓮華温泉
距離:20.2km
上り:1625m/下り2296m
コースタイム:11:50
【2日合計】
距離:31.6km
上り:3088m/下り3088m
コースタイム:18:58
※データはYAMAPより

今回のルートは山と高原地図では「白馬岳」に入っています。
山と高原地図 白馬岳 2025 [ 昭文社 地図 編集部 ]
装備
朝日岳・雪倉岳周辺は7〜8月は登山道上に雪渓が残っていることもあります。事前に登山道の状況を確認した上で、アイゼンなどの装備は持っていった方がよいでしょう。

朝日岳への登山口・蓮華温泉へのアクセス
登山口である蓮華温泉は新潟県糸魚川市にあります。国道148号から車で1時間近く山道を登っていきます。
駐車場は広いですが、7月下旬の平日7:30の時点で半分以上は埋まっていました。蓮華温泉ロッジ宿泊者も利用できる駐車場なので登山者だけの利用とは限りません。
バスでのアクセスも可能です。
1日目:蓮華温泉→朝日岳→朝日小屋(テント泊)
蓮華温泉から登山開始
駐車場に車を停めてスタート。登山口からは朝日岳が望めます。

高山植物が咲き乱れる登山道
樹林帯を抜け、兵馬の平湿原を歩きます。眺めがよく、高山植物も咲いていました。

登山道には高山植物が咲き乱れていました。


朝日岳山頂
朝日岳山頂へ到着。残念ながら山頂からは何も見えませんでした。

山頂から朝日小屋へ向かいます。印象的な赤い三角屋根が見えてきました。

朝日小屋とテント場の魅力
朝日小屋は晩ごはんがおいしくて有名で、それを目当てに訪れる人もいるそうです。また夕方に混ぜご飯とお寿司が販売されます。私はこの時はそんなものがあるとは知らなかったのですが思わず買ってしまいました。

テント場は小屋の目の前にあります。広々としていて小屋もトイレも近く便利です。周辺には高山植物が咲いています。テント場で過ごすのも飽きません。

テント場から少し歩いたところから富山湾が眺められます。富山湾に沈む夕陽は絶景でした。

憧れの栂海新道
朝日小屋は朝日岳から日本海まで続く「栂海新道」の起点でもあります。私も途中何度か「栂海新道歩いてるんですか?」と尋ねられました。皆さんとって「いつか歩いてみたい」という憧れの存在のようでした。私はその名前は知っている程度でしかなかったのですが、今回の山行で「栂海新道」が気になり始めました。
2日目:朝日小屋→雪倉岳→白馬岳→白馬大池→蓮華温泉
朝日小屋を出発し、雪倉岳へ
この日は雪倉岳・白馬岳を経由して蓮華温泉へ戻ります。
朝日小屋を出発してすぐ遠く剱岳が望めました。最初は朝日岳の巻道である「水平道」を歩きますが、意外とアップダウンがあります。

途中朝ごはんに昨日朝日小屋で購入した鶏めしをいただきました。

水平道が終わりしばらく森の中を歩く道が続いた後、雪倉岳へのぼりが始まります。
雪倉岳から望む白馬岳
雪倉岳山頂からは白馬岳の美しい姿が望めます。

雪倉岳山頂からはくだり、雪倉岳避難小屋を過ぎて緩やかなのぼりが始まります。三国境直前はのぼりがきつくなります。
雷鳥との出会い
三国境へ行く途中雷鳥にも出会いました。登山道で会う雷鳥には毎回癒されます。

白馬岳山頂の賑わい
三国境で白馬岳への登山道と合流。一気に人の数が増えました。

白馬岳山頂は登山者が多く、賑やかでした。山頂からは白馬山荘や剱岳が見渡せました。

白馬大池を経て下山
白馬岳からは再び来た道を戻り、三国境から白馬大池を目指します。
白馬大池が見えてきました。ここから蓮華温泉へと向かいます。

白馬大池からは岩がゴツゴツした登山道をくだっていくため、滑ったりしないように注意が必要です。
蓮華温泉ロッジの温泉
蓮華温泉へ下山。蓮華温泉ロッジの温泉で汗を流しました。
今回は利用しませんでしたが、蓮華温泉ロッジには露天風呂もあります。途中出会った人におすすめされたのですが、少し離れたところにあり靴を履いていかなくてはならずめんどくさかったので今回は断念しました。内湯だけでも十分満足できました。
また蓮華温泉にはキャンプ場もあり、前泊したりキャンプ場をベースに登山したりということができそうです。
まとめ|静かな自然に囲まれた朝日岳ルート
今回の縦走は「まだ歩いたことがなかったから」という理由で選んだルートでしたが、静けさ、美しい高山植物、そして朝日小屋の居心地の良さにすっかり魅了されました。特に夕陽と花々に囲まれたテント場は忘れがたい時間です。
北アルプスの王道ルートを歩き尽くした方や、人の少ない山域でじっくり自然を味わいたい方には、ぜひおすすめしたい縦走コースです。
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