【山旅】静かでワイルドな原生林と稜線を歩く 南アルプス縦走11日間/2023年夏

南アルプス縦走

2023年9月上旬に南アルプスを11日間かけてソロテント泊縦走しました。南の池口岳登山口からスタートし、光岳聖岳赤石岳荒川岳塩見岳農鳥岳間ノ岳北岳仙丈ヶ岳甲斐駒ヶ岳鳳凰三山を経てゴールの夜叉神峠まで137kmを歩きました。ここでは縦走の様子をお伝えしたいと思います。※情報は2023年9月のものです。

南アルプス縦走、どのルートで歩く?

南アルプスは長野県・山梨県・静岡県をまたぐ山域で、日本で二番目に高い北岳(3,193m)を含む3,000m級の山を十座以上を有しています。人気の北アルプスに比べれば登山口へのアクセスは悪く、登山者は少なくワイルドな山歩きを楽しめます。

日本で二番目に高い北岳
日本で二番目に高い北岳

私は2020年に北アルプスの上高地から室堂へ8日間、2021年に北海道大雪山縦走7日間、2022年に北アルプスの扇沢から裏銀座を経て上高地へ7日間を歩き、年に一度は長期縦走するのが私のとってのイベントになっています。そして2023年はかねてからやってみたかった南アルプス縦走に挑戦することにしました。

しかし日数は確保できたものの、ルートをどのように選定するか悩みました。「南アルプス縦走」は特に決められたルートがあるわけでもありません。南アルプスを北から南もしくは南から北に歩けば「南アルプス縦走」になり、自分でルートを決めることができます。私は南アルプスは白根三山縦走と光岳・聖岳縦走しか歩いていないので、できるだけ多くの山を歩く欲張りなプランを立てることにしました。しかしプランを立てる上でクリアしなければいけない点がありました。

  1. 南アルプス南部のアクセスが悪いこと
  2. テント場の数が少ないこと
  3. 山小屋で昼食の提供をしていないこと

1の「南アルプス南部のアクセスが悪いこと」とは南アルプス最南端の光岳へのアクセスのことです。車であれば登山口まで行くことができるのですが、縦走する場合車を回収するのが大変です。登山口までのバスはなく、タクシー利用か歩いて行くかしかありません。最悪最寄りのバス停から光岳登山口まで歩くことも考えましたが、約15kmの道路を歩かなくてはいけません。10日間の荷物を担いで道路を15km歩くのは気乗りしませんでした(10日間も山を歩くのに、ですが…)。さらに調べていくと、光岳より南の池口岳登山口から南アルプス縦走をしている人がいることを知りました。池口岳登山口までは最寄りのバス停から約5kmしかありません。私は池口岳登山口を縦走のスタート地点としました。

2の「テント場の数が少ないこと」をクリアするには単純に歩く距離を長くするか、小屋に泊まるかするしかありません。小屋泊は値段が高く、また事前の予約も必要なので選択肢からは除外しました。1日の歩く距離が長くなることを覚悟の上、避難小屋があるところは利用することにしました。

3の「山小屋で昼食の提供をしていないこと」は自分で持っていくことで解決するしかありません。北アルプスでは山小屋で昼食を提供しているところが多く、昼食分の荷物を減らすことができました。しかし南アルプスの小屋の多くは昼食を提供していません。実際にはいくつかの小屋で昼食を提供していたのですが、全ての食事を自分で持って行くことにしました。※山小屋で昼食を提供していなくてもカップラーメンなどは買うことができます。

以上の問題を考慮しながら、次のようなルートで歩くことにしました。

【計画時点での山行プラン】
DAY1: 大島バス停〜池口岳登山口避難小屋
DAY2: 池口岳登山口避難小屋〜池口岳〜光岳〜光岳小屋テント場
DAY3: 光岳小屋テント場〜茶臼岳〜聖平小屋〜聖岳〜兎岳避難小屋
DAY4: 兎岳避難小屋〜赤石岳〜荒川小屋テント場
DAY5: 荒川小屋テント場〜荒川岳〜悪沢岳〜三伏峠小屋テント場
DAY6: 三伏峠小屋テント場〜塩見岳〜熊ノ平小屋〜農鳥小屋テント場〜農鳥岳往復
DAY7: 農鳥小屋テント場〜間ノ岳〜北岳〜間ノ岳〜両俣小屋テント場
DAY8: 両俣小屋テント場〜仙丈ヶ岳〜長衛小屋テント場
DAY9: 長衛小屋テント場〜甲斐駒ヶ岳〜早川尾根小屋テント場
DAY10: 早川尾根小屋テント場〜鳳凰三山〜夜叉神峠登山口

正直無理のあるプランだなと不安に思っていたのですが、実際は途中台風が通過したおかげでプランを変更せざるを得ず結果11日間の山行となりました。

【実際の行程】
DAY1:大島バス停→池口岳登山口避難小屋
DAY2:池口岳登山口避難小屋→池口岳→光岳→光岳小屋テント場
DAY3:光岳小屋テント場→茶臼岳→聖平小屋→聖岳→兎岳避難小屋
DAY4:兎岳避難小屋→赤石岳→荒川岳→高裏山避難小屋
DAY5:高山裏避難小屋にて台風をやり過ごす
DAY6:高山裏避難小屋→小河内岳→三伏峠小屋テント場
DAY7:三伏峠テント場→塩見岳→熊ノ平小屋→農鳥小屋テント場→農鳥岳往復
DAY8:農鳥小屋テント場→間ノ岳→北岳→間ノ岳→両俣小屋テント場
DAY9:両俣小屋テント場→仙丈ヶ岳→長衛小屋テント場
DAY10:長衛小屋テント場→甲斐駒ヶ岳→早川尾根小屋テント場
DAY11:早川尾根小屋テント場→鳳凰三山→夜叉神峠登山口

ちなみに私はUL(ウルトラライト)スタイルではありませんが、11日間縦走するには軽い方だと思います。バックパックはグレゴリーのスタウト45を使用し、食糧と水を含まないベースウェイトは10kg前後になったと思います(今回重量を測るチャンスがありませんでした)。準備した食糧は朝食にアルファ米とスープ、昼食にシリアルとシリアルバー、夕食にアルファ米もしくは棒ラーメン、その他行動食とおつまみ、お茶パックとコーヒー。コーヒーが好きなので豆とミルを持っていきたいところでしたが、今回は極力荷物を減らすため我慢しました。ウイスキーの小ボトルも持っていきました。

ここからは日毎に実際の山行を紹介していきます。

DAY1:大島バス停→池口岳登山口避難小屋

当初の予定では遠山郷で前泊し、バス停から一気に光岳を目指すつもりでいました。しかし、直前に池口岳登山口に避難小屋があることを知り、遠山郷で泊まらず避難小屋まで歩きそこで泊まることにしました。

飯田駅から池口岳登山口の最寄りの「大島バス停」までのバスが出ています。1日の本数が少なく、気をつけなくてはいけません。私は13:30発のバスに乗車しました。大島バス停周辺にはコンビニなどはないので、飯田駅周辺が最後の物資補給地となります。飯田駅から大島バス停までは1時間15分、料金は700円です。乗客は私の他に地元の方が2人のみでした。

遠山郷線(和田)|南信交通

大島バス停は集落の中にあり、バス停にはトイレが併設されています。池口岳登山口にはトイレはありません

大島バス停
大島バス停

集落を抜けて林道を歩いていきます。緩やかな坂ですが標高は高くないので、まだ暑いこの日は汗が吹き出してきました。途中小さな集落をいくつか通過します。

池口岳登山口へと続く林道
池口岳登山口へと続く林道

登山口に着きました。バス停からはほぼ登りでした。林道をさらに進むと池口岳避難小屋が見えてきます。

池口岳避難小屋
池口岳避難小屋

5人ほど寝れる広さです。任意の募金箱が設置してあります。この日は私以外誰もいませんでした。明るいうちに夕食を済ませ、寝る準備をします。夜は虫(クモとアリ)が這う足音がうるさく、なかなか眠れませんでした。

池口岳避難小屋の中の様子
池口岳避難小屋の中の様子

【DATA】
DAY1: 大島バス停→池口岳登山口避難小屋
距離:4.8km
のぼり/くだり:660/71m

DAY2:池口岳登山口避難小屋→池口岳→光岳→光岳小屋テント場

朝5時に避難小屋を出て登山口へ向かいます。この日はほぼ樹林帯で、時折木々の間から景色が望めます。

木々の間から見える景色
木々の間から見える景色

南アルプス南部の森は苔むした感じが印象的です。

南アルプス南部の森は美しい
南アルプス南部の森は美しい

池口岳からは特に景色は望めませんでした。

池口岳山頂
池口岳山頂

途中立ち枯れの木の間を歩く箇所がありました。ここは登山道がわかりにくいので地図で確認しながら進みます。

立ち枯れの木
立ち枯れの木

光岳手前で光岩までの分岐があります。荷物を置いて光岩まで行きましたが、結構下っていきます。

光岩から大井川流域の鬱蒼とした森が見渡せます。光岳山頂からは景色は見えないので、光岳まで来たら光岩まで来ることをおすすめします。

光岩からの景色
光岩からの景色

光岳山頂を経て光岳小屋に着きました。この日は全体的に急登が多く体力をかなり消耗しました。光岳小屋には売店があり、ビールやカップラーメンなどを買えます。テント場は小屋のそばに1ヶ所、少し離れたところに1ヶ所の2ヶ所あります。料金は1000円(ハイシーズンは1500円)でした。水場は2ヶ所、小屋から10〜15分急登を下ったところと、小屋から易老岳方面へ10〜15分歩いたところの沢沿いにあります。小屋でも水は有料で買うことができます。

光岳小屋
光岳小屋

光岳小屋|CHILLNN

光岳小屋から晴れていれば富士山や聖岳などを望むことができます。

光岳小屋からの景色
光岳小屋からの景色

【DATA】
DAY2: 池口岳登山口避難小屋→池口岳→光岳→光岳小屋テント場
距離:15.1km
のぼり/くだり:2335/877m

DAY3:光岳小屋テント場→茶臼岳→聖平小屋→聖岳→兎岳避難小屋

夜明け前にテント場を後にしました。朝焼けが望めたものの次第にガスに覆われ、易老岳に着いた頃には小雨が降っていました。

茶臼岳に近づくにつれて空が見えてきて、茶臼岳からは雲の上の聖岳が見えました。しかしこの日景色が望めたのはここだけでした。

茶臼岳から見えた聖岳
茶臼岳から見えた聖岳

聖平小屋で水の補給をするために立ち寄ると、ランチ営業していることがわかりました。想定外でしたが、せっかくなのでカレーを食べました。夏用に準備した食事が余ったようで、公にはせずにランチを提供しているようでした。出発の準備をしていると雨が降り出しました。

聖平小屋
聖平小屋

聖平小屋 公式HP | 南アルプス聖岳に鎮座する山小屋

雨の中聖岳までの急登を登っていきます。実は二度目の聖岳ですが、前回も同じようにガスの中を歩き何も見えませんでした。もはや苦行でしかありません。聖岳山頂からも何も見えませんでした。先へ進みます。

聖岳山頂
聖岳山頂

今日の宿泊地である兎岳避難小屋に着きます。正直小屋を見て引きました。廃墟にしか見えません。しかし中を見ると新しく部屋のスペースが作られていてほっとしました。外は雨だったので、雨風しのげるだけマシです。ここでも他に誰も来ませんでした。

兎岳避難小屋
兎岳避難小屋
兎岳避難小屋の内部
兎岳避難小屋の内部

「兎岳避難小屋」日本山小屋完全ガイド | PEAKS

【DATA】
DAY3: 光岳小屋テント場→茶臼岳→聖平小屋→聖岳→兎岳避難小屋
距離:17.6km
のぼり/くだり:1921/1685m

DAY4:兎岳避難小屋→赤石岳→荒川岳→高裏山避難小屋

まだ暗いうちに避難小屋を後にします。程なくして兎岳に着きました。遠方の街の明かりや星空が見渡せました。

百間洞の家で朝食の休憩をし、赤石岳へ向かいます。視界はガスに遮られたりしなかったりといった感じで、時折遠方の山々が見渡せました。

荒川岳が見え隠れしている
荒川岳が見え隠れしている

残念ながら赤石岳山頂からは何も見えず、惜しみながら荒川岳に向かいます。振り返って見える赤石岳や歩く先の荒川岳の山容は美しく見惚れてしまいます。荒川小屋で昼食休憩をしながら、この日どこまで歩くを考えます。

荒川岳
荒川岳

実は歩き始めてから台風が近づいているという情報を知りました。しかも南アルプスに直撃する進路です。私は下山も考えましたが、まだ食糧は十分にあったので途中の小屋で台風をやり過ごすことにしました。

当初ではこの日は荒川小屋でテント泊をするつもりでしたが、台風をやり過ごすためにどこかの小屋で何日か過ごす覚悟でいました。有人小屋は基本的に予約なしでは泊まれないので、避難小屋に泊まることにしました。稜線上の避難小屋では万が一の水の確保が難しいと思い、比較的谷に近い高裏山避難小屋まで行くことにしました。

荒川中岳からは何も見えませんでした。悪沢岳まで足をのばしたかったのですが、その日の行程と天気を考慮し断念。荒川前岳を経由し高裏山避難小屋へと向かいました。聖岳、赤石岳、荒川岳といずれも景色を望めなかったので悪沢岳と合わせてまたチャレンジしたいと思います。悪沢岳を断念したことで南アルプス「全山」縦走は果たせないことになりました。

荒川中岳山頂
荒川中岳山頂

高裏山避難小屋は樹林帯の中にあり、10人ほどは寝れる広さがありました。初日の池口岳避難小屋や前日の兎岳避難小屋に比べてしっかりとした建物だったので安心しました。夏のハイシーズンは管理人がいて料金がかかるようですが、この時期は誰もおらず無料で利用できました。

高山裏避難小屋
高山裏避難小屋

山小屋情報 | 造園緑化から南アルプスのサービス事業まで 特種東海フォレスト

荷物を下ろして水場へと向かいました。小屋から5分ほど降りると沢に出ましたがそこは枯れていました。沢の周辺はスペースがありテント場として利用できるようです。さらに10分ほど沢を下ると水場にたどり着きました。この時サンダルで来てしまったのですが、岩場もあったので登山靴の方がよかったかもしれません。正直小屋からは15分と離れており、頻繁に来るのはわずらわしい場所です。翌日の台風通過に備え水を満タンにして小屋に戻りました。この日も小屋には私1人でした。

水場
水場

【DATA】
DAY4:兎岳避難小屋→赤石岳→荒川岳→高裏山避難小屋
距離:15.6km
のぼり/くだり:1788/2130m

DAY5:高山裏避難小屋にて台風をやり過ごす

朝起きて外を見ると、風はあったものの雨は降っていませんでした。小屋から少し離れた崖のへりでは携帯の電波が入り天気予報を確認することができました。その日の午後に台風が接近することがわかり、この日は避難小屋滞在を決めました。正直この日まで割とハードな山行だったので休息できてほっとしました。

高山裏避難小屋内部
高山裏避難小屋内部

上空の風は強く、雨が降ったり止んだりを繰り返していました。小屋の中で持ってきた本を読んだり、雨が止んでいる時間をねらって周辺の森を歩いてみたりしました。森は苔で覆われていて、いかにも原生林といった感じでとてもきれいでした。

小屋の周辺の森
小屋の周辺の森

思わぬ停滞でしたが、充実した時間を過ごすことができました。翌日天候が回復することを祈りながら眠りにつきました。

【DATA】
DAY5:高山裏避難小屋
距離:0

DAY6:高山裏避難小屋→小河内岳→三伏峠小屋テント場

朝起きて窓から外を見て雲に覆われているのを見て「この日も停滞か?」と一瞬不安になりましたが、天気予報をチェックすると台風情報がありませんでした。明け方に台風が熱帯低気圧へと変わったようです。午前中は晴れ間も見えそうだったので先へ進むことにしました。2泊お世話になった高山裏避難小屋を後にします。

お世話になった高山裏避難小屋
お世話になった高山裏避難小屋

雲はあるものの晴れ間が見えました。小河内岳から烏帽子岳への稜線が気持ち良かったです。

烏帽子岳
烏帽子岳

この日は三伏峠小屋までだったので昼ごろには着きました。土曜日ということもあり人が多く、テント場も混んでいました。小屋で大盛りのカレーとビールをいただきました。テント泊料金は1100円(1人1張の場合/トイレ利用料含む)でした。水場は歩いて10分ほどのところにあります。

三伏峠小屋のテント場
三伏峠小屋のテント場

南アルプス 三伏峠小屋 – 塩見岳・小河内岳への登山をお手伝い

【DATA】
DAY6:高山裏避難小屋→小河内岳→三伏峠小屋テント場
距離:8.7km
のぼり/くだり:859/692m

DAY7:三伏峠テント場→塩見岳→熊ノ平小屋→農鳥小屋テント場→農鳥岳往復

まだ暗いうちにテント場を後にします。塩見岳で朝日拝めるかな?とも思ったのですが、全くもって間に合いませんでした。それでもこの日は快晴で塩見岳山頂からは360°パノラマビューが見渡せました。南は聖岳から北は北岳や仙丈ヶ岳が望めました。7日目にしてようやくこれまで歩いてきた道とこれから歩く道の全貌が明らかになったのです。日曜ということもあり山頂は賑やかでした。

塩見岳から北岳方面を望む
塩見岳から北岳方面を望む

山頂での景色を惜しむように後にし塩仙尾根を歩いていきます。人の数が一気に減りました。稜線歩きが気持ちよかった。

塩仙尾根を行く
塩仙尾根を行く

熊の平小屋で休憩します。水がふんだんに湧き出ておりおいしかったのでガブガブ飲んでしまいました。小屋の感じやテント場の開放感も良く、ここに泊まりたいとも思ったのですが、先の行程を考え先に進むことに。

熊の平小屋
熊の平小屋

南アルプス 熊の平小屋 | Facebook

次第に雲が出てきました。途中巻き道へ入り、農鳥小屋方面を目指します。朝の塩見岳の晴天とは打って変わって目指す農鳥岳は雲に覆われていました。巻き道の途中には水場がありました。農鳥小屋の水場はないという情報を得ていたのでここで補給しました。

農鳥岳は雲に覆われている
農鳥岳は雲に覆われている

農鳥小屋は人気もなく閑散としていました。今シーズンは小屋は人がいない形で営業しているようでした。テント場も利用でき、料金箱が設置されています。適当にテントを張りました。かつてあった水場は閉鎖されているようで、水は事前に準備しておく必要があります。

農鳥小屋
農鳥小屋

農鳥小屋 | 早川町役場

ガスに覆われていましたが雨は降っていなかったので農鳥岳まで行ってみました。農鳥岳には行ったことがあるので、「何も見えなくてもいいや」ぐらいの気持ちでした。案の定山頂から景色は見えませんでしたが、誰もいない山頂で雲の動きを見ることができそれはそれで感動的な景色でした。

農鳥岳
農鳥岳

テント場に戻ります。その日は他に数張のテントがありましたがとても静かでした。

【DATA】
DAY7:三伏峠テント場→塩見岳→熊ノ平小屋→農鳥小屋テント場→農鳥岳往復
距離:21.5km
のぼり/くだり:2134/1911m

DAY8:農鳥小屋テント場→間ノ岳→北岳→間ノ岳→両俣小屋テント場

朝テントを撤収していると、赤く染まる富士山と朝日を拝むことができました。

朝日に染まる富士山
朝日に染まる富士山

テント場を後にし間ノ岳へ向かいました。間ノ岳山頂は風が強く、足早に北岳方面へ向かいます。

北岳
北岳

北岳山荘に荷物をデポし北岳へ。

北岳山荘
北岳山荘

南アルプス市山梨県北岳山荘 | 南アルプスNET|南アルプス市芦安山岳館

二度目の北岳です。初めてきた時は白根三山縦走で訪れました。まだ登山を始めたばかりの頃で、初めての2泊3日の山行も大冒険に思えたのを覚えています。今では1週間以上歩くのも普通となり、かつて歩いた2泊3日の行程も「一部」に取り込んでしまうとは。

北岳山頂
北岳山頂

北岳山荘へ戻り、再び間ノ岳へ。今度は塩仙尾根へ向かいます。

塩仙尾根へと向かう
塩仙尾根へと向かう

樹林帯に入り、尾根を外れて下っていくと沢に出ます。しばらく下ると両俣小屋へ着きました。

両俣小屋
両俣小屋

両俣小屋

こじんまりとした小屋の目の前に沢が流れていてのんびりした雰囲気があってよかったです。雨さえ降らなければ、川沿いで日向ぼっこしたかったです。テント泊料金は1000円です。

【DATA】
DAY8:農鳥小屋テント場→間ノ岳→北岳→間ノ岳→両俣小屋テント場
距離:14.4km
のぼり/くだり:1252/2043m

DAY9:両俣小屋テント場→仙丈ヶ岳→長衛小屋テント場

両俣小屋を後にし再び塩仙尾根へ戻ります。仙丈ヶ岳が近づいてきます。

仙丈ヶ岳
仙丈ヶ岳

仙丈ヶ岳山頂からも景色がばっちり見えました。日帰りでも来れる山なので山頂は賑やかでした。

仙丈ヶ岳からの景色
仙丈ヶ岳からの景色

山頂を後にし北沢峠へ向かいます。甲斐駒ヶ岳を見ながら下っていきます。

甲斐駒ヶ岳
甲斐駒ヶ岳

この日は長衛小屋でテント泊しました。広々としたテント場にはたくさんのテントが張られていました。テント泊料金は900円です。水場はテント場にあります。

長衛小屋テント場
長衛小屋テント場

南アルプス市長衛小屋 | 指定管理者 特定非営利活動法人芦安ファンクラブ

人気のある長衛小屋だったら昼食くらいあるだろうと思っていたらありませんでした。毎日のアルファ米とインスタントラーメンに飽き飽きしていたので少し期待していたのですが残念です。しかしおでんと生ビールがあり、もちろん注文しました。

長衛小屋のおでんと生ビール
長衛小屋のおでんと生ビール

【DATA】
DAY9:両俣小屋テント場→仙丈ヶ岳→長衛小屋テント場
距離:12.4km
のぼり/くだり:1350/1375m

DAY10:長衛小屋テント場→甲斐駒ヶ岳→早川尾根小屋テント場

夜明け前に出発します。仙水峠で荷物をデポして甲斐駒ヶ岳へ向かいます。

甲斐駒ヶ岳へ向かう途中朝日を拝む
甲斐駒ヶ岳へ向かう途中朝日を拝む

山頂で先に着いていた男性が1人いましたがその人が降りると誰もおらず、数十分の間甲斐駒ヶ岳の山頂を独り占めすることができました。

甲斐駒ヶ岳山頂
甲斐駒ヶ岳山頂

今まで歩いてきた道が見渡せます。聖岳も遠くにあります。

甲斐駒ヶ岳山頂からの景色
甲斐駒ヶ岳山頂からの景色

十分山頂の風景を堪能し仙水峠へ戻ります。今度は早川尾根を歩いていきます。

早川尾根
早川尾根

早川尾根小屋へ着きました。管理人はいないようです。料金箱にお金を入れて小屋の前の広場にテントを張りました。テント泊料金は1000円です(1人の場合)。水場はすぐ近くにあります。

早川尾根小屋
早川尾根小屋

早川尾根小屋 | 南アルプスNET|南アルプス市芦安山岳館

【DATA】
DAY10:長衛小屋テント場→甲斐駒ヶ岳→早川尾根小屋テント場
距離:10.4km
のぼり/くだり:1787/1348m

DAY11:早川尾根小屋テント場→鳳凰三山→夜叉神峠登山口

鳳凰三山で朝日を拝むべく、3時に出発します。広河原峠を過ぎると藪漕ぎをする箇所が多くイライラしました。ふと見上げる空には満点の星空が広がっていました。今回の山行は案外忙しかったなと思いながらしばし星を眺めます。

星空の下を歩く
星空の下を歩く

ギリギリ朝日に間に合いました。地蔵ヶ岳を照らす朝日と雲海は見事なものでした。

朝日に照らされる地蔵ヶ岳
朝日に照らされる地蔵ヶ岳

観音岳からの景色も素晴らしい。

観音岳からの景色
観音岳からの景色

薬師岳で景色を惜しむように眺め夜叉神峠へ向かいます。

薬師岳からの景色
薬師岳からの景色

夜叉神峠へ着きました。ゴールまで後少しです。

夜叉神峠
夜叉神峠

ゴールの夜叉神峠登山口です。ひとりで感傷に浸りました。やった!歩き切った!

夜叉神峠登山口
夜叉神峠登山口

バスで芦安まで行き、温泉で11日分の汗を流しました。その後「肉!肉!」と興奮しながら食べたロースカツはおいしかったのですが、11日間肉を食べていなかったせいか下痢をしてしまいました…。そして再びバスに乗り甲府駅へ。これにて11日間の南アルプス縦走が終わりました。

【DATA】
DAY11:早川尾根小屋テント場→鳳凰三山→夜叉神峠登山口
距離:16.2km
のぼり/くだり:1182/2225m

山行データ

【実際の行程】
DAY1:大島バス停→池口岳登山口避難小屋
DAY2:池口岳登山口避難小屋→池口岳→光岳→光岳小屋テント場
DAY3:光岳小屋テント場→茶臼岳→聖平小屋→聖岳→兎岳避難小屋
DAY4:兎岳避難小屋→赤石岳→荒川岳→高裏山避難小屋
DAY5:高山裏避難小屋にて台風をやり過ごす
DAY6:高山裏避難小屋→小河内岳→三伏峠小屋テント場
DAY7:三伏峠テント場→塩見岳→熊ノ平小屋→農鳥小屋テント場→農鳥岳往復
DAY8:農鳥小屋テント場→間ノ岳→北岳→間ノ岳→両俣小屋テント場
DAY9:両俣小屋テント場→仙丈ヶ岳→長衛小屋テント場
DAY10:長衛小屋テント場→甲斐駒ヶ岳→早川尾根小屋テント場
DAY11:早川尾根小屋テント場→鳳凰三山→夜叉神峠登山口

総距離:137.2km
のぼり/くだり:15273/14361m

まとめ

この記事では2023年9月上旬に11日間かけて歩いた南アルプス縦走の様子を紹介しました。前半は天候が悪く山頂からは何も見えず、予期せぬ台風に停滞を余儀なくされたものの、後半は晴れが多く素晴らしい景色を楽しむことができました。

南アルプスは北アルプスに比べて小屋やテント場の数が少なく、1日に歩く行程が長くなります。また特に南部のアクセスが悪くエスケープルートも限られます。食糧も自分で準備しなくてはならず、その分荷物も重くなります。そのため入念な準備と計画そして体力が必要になります。ただその分歩く人は北アルプスほど多くなく、静かな山歩きを楽しみたい人には南アルプスはおすすめです。

南アルプスを縦走してみたい!という方も、そんなに歩かなくても一部を歩いてみたい!という方もこの記事を参考にしていただけたらうれしいです。

※この記事の情報は2023年9月のものです。計画を立てる際は最新の情報を確認してください。

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