【実体験】沖縄サトウキビ製糖工場バイトは稼げるのか?

サトウキビ畑

私は昨年12月から今年の4月まで沖縄のサトウキビ製糖工場で働いていました。私にとっては未知の世界で、「本当に稼げるのだろうか?」そして「どんな仕事をするのか?きつくはないだろうか?」と不安に思っていました。

この記事では「工場バイト未経験」の私が、実際に沖縄のサトウキビ製糖工場でバイトしていくら稼いだかそしてどんな仕事をしたのかなどをお伝えして、「沖縄サトウキビ製糖工場バイトは稼げるのか?」を明らかにしていきます。

沖縄サトウキビ製糖工場バイトとは?

冬は沖縄サトウキビバイトでガッツリ稼ぐ

というのはバックパッカーなどの旅人の間でちらほら耳にしました。でも私はずっと「サトウキビバイト=サトウキビの収穫」をイメージしてたんですね。いわゆる「キビ刈り」です。昔見た映画「深呼吸の必要」がまさにキビ刈りアルバイトの話で、「日本各地から集まった男女が一つ屋根の下に暮らしながら、炎天下の中ひたすらサトウキビを刈る」というイメージでした。濃い人間関係と過酷な労働ですね。

深呼吸の必要

風に揺れるサトウキビ

しかしいざ沖縄でサトウキビバイトをしようと調べたら、稼げるのは「キビ刈りバイト」ではなく「工場バイト」だということがわかりました。実はキビ刈りは過酷な割にあまりお金にならないようです。

沖縄では12月〜3月にかけてサトウキビが収穫され、サトウキビ製糖工場で加工されます。沖縄には本島を含む離島に17の製糖工場があります。

製糖工場紹介 | (公式)日本分蜜糖工業会
八つの島の八つの黒糖 | 沖縄県黒砂糖協同組合

サトウキビは手刈りだけでなく、機械で収穫される

キビ刈り同様に製糖工場でも毎年この時期にバイトを募集しているのです。派遣会社の求人も出ていますし、製糖工場が直接求人を出していることもあります。私は製糖工場へ直接応募しました。

派遣会社の求人
求人募集 | YUIME株式会社
※季節外には製糖工場求人が出ていない場合もあります

求人情報を見てもらうとわかる通り、時給は900円ちょっととそれほど高くないです。ではなぜ稼げるのか?詳しくは後ほど説明しますが、それは単に「労働時間が長い」からです。また寮が完備されているところもあり、「生活費も抑えられ出費が少ない」というのも稼げる(貯金できる)要因となっています。

正直私は求人を見て「果たして大丈夫だろうか」と不安になりました。というのも私はこれまで工場バイト未経験で「工場バイト=単純作業の繰り返し」というイメージを抱いており、単純作業が苦手な私にはチャレンジングな仕事だったのです。

そしてさらに「長時間労働・夜勤・休日少ない」というのは、今まで「残業なんてありえない・休みはちゃんと欲しい」という軟弱な(いやホワイトな)労働観を持った私にとっては自らの信念を裏切るような条件だったのです。

しかし「毎年冬を乗り切れるだろうかと憂鬱になるほど寒いのが苦手」で「お金を稼ぎたい」と思っていた私は迫り来る(当時いた)長野の寒さを恐れ、未知の世界に飛び込むことにしたのです。しかし結果としてそこまでストレスもなく働くことができました。

どんな仕事をするのか?仕事はきつい?

私が働いた工場はサトウキビから黒糖を製造する製糖工場で、沖縄に8工場あるうちの一つです。他の9工場はサトウキビからグラニュー糖などを作る製糖工場です。ここでは黒糖製糖工場の仕事内容を紹介します。仕事内容はおそらく工場が違っても大きくは変わらないようです。

仕事内容

私が配属されたのは「機械部署」で、恐れていた「単純作業の繰り返し」のような仕事はありませんでした。簡単に言えば「絞り出したサトウキビの汁を煮詰めていく機械を監視・管理する部署」です。毎日やることは同じで大きく見れば単純作業の繰り返しですが、同じ場所にじっとしていなくてもいいというのが助かりました。

結構細々としたことをやりますが、慣れてしまえば難しい仕事はありませんでした。もちろん機械の故障などの時はイレギュラーなこともやる場合もあります(専門的なことは社員さんが行います)。基本的に中央監視室(機械の監視をする部屋)で待機して、時間になったりブザーが鳴ったりしたら対応します。チームは社員を含めて3〜4人で、作業は交代でやったり一緒にやったりします。チームは固定されています。作業内容は次のようなものでした。

  • 1時間ごとの定時チェック(サトウキビを煮詰めた汁のphや糖度、機械の計器のチェック)
  • 毎日決まった時間に行う機械や工場内の清掃
  • 機械の稼働状況に合わせて行う作業(ブザーがなったら薬品を入れるなど)

手分けして行うので、忙しいという感じはほぼありません。作業自体は部屋を離れ工場内を移動するため、じっとするのが苦手な私には助かりました。むしろ待機時間が長くて、何もしない時間が長いの方がつらかったです。また天候や場所によっては「暑い」「寒い」という時もあり、その中での作業はきつかったです。まれに重いものを運んだり、服が汚れる作業もありました。

他の部署の仕事内容は、見た感じ、聞いた感じだと、

  • 重機やフォークリフトを操作する(免許が必要)
  • サトウキビを圧搾する機械を監視・管理する
  • サトウキビの絞りカスを燃料にしたボイラーを監視・管理する
  • 全身白衣を着て仕上げ工程で黒糖を作っていく、箱に詰める
  • 運ばれてきたサトウキビの糖度や品質をチェックする
  • 運ばれてきたサトウキビの中の異物を取り除く
  • 製造中の黒糖の品質のチェックや分析をする

などの仕事があります。どの部署も難しいことはやってないようですが、皆「時間が長いのがきつい」と言ってました。私が工場バイトでイメージしていたのはまさに「全身白衣を着て箱に詰める」作業で、実際には時間を区切って休憩しながらやっているようでしたが「自分には無理かもな」と思いました。

製糖期間中は24時間稼働し続ける製糖工場

勤務時間・休日

まず基本12時間勤務です。1時間の休憩があり、この時間も給料が支給されます。昼勤務は8:00〜20:00で、夜勤務は20:00〜8:00の2交代制です。それぞれチームが固定されており、1週間ごとに交代します。

その交代日というのがなんと17時間もしくは19時間です。これは何度やっても慣れるものではありません。きついです。眠いです。もはや8時間勤務というのが甘ったるく思えます。

交代日の勤務時間

休憩時間に支給された弁当を食べることができます。ちなみに弁当は毎日ほっともっとの弁当でした。日によって弁当の種類は変わりますがさすがに飽きました。

そして休日は週に1日です。週休2日に慣れていた私は「大丈夫かな?」と思いましたが、週1日で十分でした。稼ぎに来ているのですから休みが多くても困ります。前年までは休みは月に2〜3回程度だったようですが、今年から週1休みになるように人員配置しているようです。しかし部署によっては人員配置の関係で休みのない人もいました。ちなみに年末年始は工場自体が稼働せず、一週間ほど休みでした。

勤務時間や休日に関しては工場によって異なるかも知れません。また近年の働き方改革の煽りを受け、「3交代制の導入」を検討しているらしいのでいつまでもこの体制が続くとは限りません。3交代制になったら稼げなくなるかもしれません。

交代日の長い勤務終わりに晴れていれば開放感も大きい

結局いくら稼いだの?

給与体系

私の基本時給は920円でした。これは経験や部署によって異なります。そこに時間外手当(25%増し)深夜手当25%増し)、休日時間外手当(35%増し)などがつきます。1日に稼げる金額は次のようになります。

12時間昼勤務の場合:8時間基本(920円×8)+休憩1時間(920円×1)+残業3時間(920円×1.25×3)=11,730円

12時間夜勤務の場合:8時間基本(920円×8)+休憩1時間(920円×1)+残業3時間(920円×1.25×3)+深夜手当6時間分(920円×0.25×6)=13,110円

17時間勤務の場合:8時間基本(920円×8)+休憩1時間(920円×1)+残業8時間(920円×1.25×8)+深夜手当6時間分(920円×0.25×6)=18,860円

19時間勤務の場合:8時間基本(920円×8)+休憩1時間(920円×1)+残業10時間(920円×1.25×10)+深夜手当6時間分(920円×0.25×6)=21,160円

また工場がトラブルで突然休みになった場合は基本給の60%は補償されます。

労災保険寮費が支給される給料から引かれます。季節労働なので、雇用保険と健康保険の加入はありません。また最後まで勤務期間を全うすれば渡航費の補助満了手当の支給があります。ちなみに直接雇用と派遣雇用では給与体系は異なるようです。

実際に稼いだ金額

では実際いくら稼げたのでしょうか?

振り込まれた給与の総額(労災保険と寮費を除く、渡航費や満了手当含む):1,253,000円
就労日数(契約期間の日数):134日
勤務日数(交代日も1とする):103日

4ヶ月半で125万円勤務日数1日あたりだと12,165円になります。月給換算だと約28万円(就労日数で割った数×30)です。ここから家賃も食費も交通費も払う必要はありません。月々の出費を差しいても約120万の貯金ができました。私はビールやコーヒーを飲むくらいであまり出費はありませんでした(月々の通信費や健康保険料もあります)。

私は「本当に沖縄サトウキビ製糖工場バイトは稼げるのか?」という疑問には「稼げる」と答えます。少なくとも私にしてみれば、4ヶ月半で100万以上を貯金したことはありません。「稼ぐ」という面から見ればサラリーマンの方が稼げるかもしれません。しかし私も経験しましたが、都会でサラリーマンをしていれば出費もバカにならず貯金なんてほとんどできませんでした。ということで沖縄サトウキビ製糖工場バイトは稼げると私は思います。

稼げる額は工場によっても、年によっても変わる

稼げる稼げないは単純に働く日数によります。つまり稼げる額は工場によっても、年によっても大きく変わってくるのです。というのは工場の稼働日数はサトウキビの収量や天候などに左右されるからです。

私が働いた工場は4月の中旬まで稼働していました。しかし同じ年でも他の工場は3月中に稼働終了したところもあります。また私が働いた工場は前年は4月の上旬、その前の年はなんと5月まで延びたということもあり、年によっても稼働日数が変わってくるのです。事前に予測は難しいですが、稼ぎたい場合は稼働日数が多い工場を選ぶといいということです。

こちらで各製糖工場の稼働状況(令和4年度)を確認できます。
沖縄県における令和4年産さとうきびの生産状況について

部署によっても働く時間は変わります。私が所属した部署は機械にトラブルがあっても待機だったり対応だったりで時間いっぱい働くことができましたが、機械が止まって仕事がない部署は早く帰っていました。早く帰ればその分稼げなくなります。また工場によって寮費が異なります。お金を貯める上では寮費も大きく関わってくるので求人情報はよく見ておいた方がいいでしょう。

生活は?どんな人たちが働いてる?

寮での生活

私が工場を選んだ決め手は「寮がきれいで、個室、wifiあり」でした。他の工場の寮に比べれば寮費は少し高いですが、快適さは確保しておきたかったのです。寮は工場から歩いて5分のところにありました。

数年前に建てられた新築の寮で、部屋はシンプルでちょっとしたビジネスホテルの部屋といった感じで快適でした。シャワーもトイレもきれいで、洗濯機は無料で使えます。共用の冷蔵庫が人数の割には小さいのが難点でしたが、寮での生活に全くの不便さはありませんでした。共用スペースは玄関と玄関前のみでしたが、ここで他の人たちとお酒を飲んだりできました。

寮は新しくてきれい

食事は食堂で決まった時間に提供されます。皆が一斉に食べるのではなくて、何時から何時までというように指定された時間内に食べに行くといった感じです。そして何よりも毎回食事はしっかりしていておいしかったです。

寮の食事は毎日おいしかった

スーパーは徒歩圏内にあり基本的なものは買うことができました。ただ離島ということもあり、物価は本土に比べ高いです。またAmazonは注文して一週間くらいはかかりました。基本的に寮で生活していればお金を使うことはありません。私はスーパーでビールとかコーヒーを買うくらいでした。

1日12時間働いたからといって「時間がない」という感じは全くありませんでした。通勤時間は5分ですし、食事の準備もしなくていいので案外時間はあります。8時間労働でも通勤時間や料理の時間が長かったりすれば時間はあっという間に過ぎるのではないでしょうか。私は7、8時間寝ていましたし、寝る前に動画を見たり本を読んだりしていました。逆に生活にリズムができて健康的な生活が送れたように思います。

休日の過ごし方

休日の過ごし方は人それぞれあると思いますし、場所によってやれることも変わってくるとは思います。私は晴れていれば必ず歩いて近くのビーチに行ってました。また晴れた日はSUPをしたり、天気が悪ければブログをまとめて書いたりしてました。年末年始の休みの時は、島内のキャンプ場でキャンプしました。

人によっては自転車で出かけたり、他の島に遊びに行ったり、お店に食べに行ったりなどしているようでした。工場のある島で休みの日に何ができるかというのも、工場を選ぶ決め手になるかもしれませんね。

沖縄ならではの風景が広がっている

どんな人たちが働いてる?

一言で言えばいろんな人が働いています笑

季節アルバイトで来ている人は大体40人ほどはいたと思います。20代〜50代と世代は広く、ほぼ男性でした。何年も来ているベテランさんもいますし、初めての人もいます。なので私のような工場バイト未経験の30代後半が入り込んでも何も変な目では見られませんでした。こういうところに来るような人たちですから経験豊富で凝り固まった常識に縛られることなく割と自由に生きている人が多かったです。それまでの経歴なんて関係なく「稼ぐ」という共通の目的で集まっているので、みんな変に肩肘張らずに過ごしている気がしました。

国内外いろんな場所に行った旅人もいますし、夏は北海道で働く人山小屋で働いてた人、前はお店をやっていた人もいました。沖縄本島北海道関東など日本全国から来ていました。皆でお酒を飲むのが好きな人楽器を持ってきている人部屋に引きこもっている人と様々でした。技能実習生として海外から来ている若者たちも結構多く和やかな雰囲気でした。

その年によって雰囲気は変わるみたいですし、多分工場によっても違うと思います。何年か来ていて、仲良くなっている人たちもいました。私には合わない人もいましたし、仲良くなった人もいました。人付き合いに疲れたら部屋にこもることもできましたが、話す人がいたり一緒にお酒飲んだりできたおかげで仕事を乗り切れた気がします。

こういった出会いも楽しみの一つではないでしょうか。

沖縄でガッツリ稼ぎたい人にはサトウキビ製糖工場バイトはオススメ

短期間でまとまったお金を貯めたい人にはサトウキビ製糖工場バイトはオススメです。でもやっぱり「沖縄で」というのがポイントです。「暖かい冬を沖縄で過ごしたい」「都会の喧騒を離れ沖縄ののんびりとした雰囲気を味わいたい」とかです。私は寒いのが苦手なので沖縄で働きたかったというのもありました。暖かいというだけで、冬の沖縄にあまり期待していなかったものの、「冬であること、さらに日本であることを忘れさせてくる気候や雰囲気」や「夜出勤時街灯のない真っ暗な道路から見上げる星空」、「誰もいないビーチでビールを飲みながら眺めた夕陽」など沖縄ならではの自然や体験を楽しむことができました。

つまり「沖縄で」「稼ぎたい」と思っている人にはサトウキビ製糖工場アルバイトはオススメです。単に稼ぎたいのであれば自動車工場の方が稼げると思います。

夕陽を見ながら飲むビールは最高

まとめ

この記事では私の実体験に基づいて「沖縄サトウキビ製糖工場は稼げる」ということをお伝えしました。しかし私にとっては稼げたかどうかよりも、「人との出会い」や「沖縄で過ごしたこと」の方が大きな収穫だったように思います(稼げたからそう思うのかもしれませんが)。

何にでも言えることですが、少しでも気になった方はやってみたほうがいいと思います。実際どれくらい稼げるかはわかりません。たかだか3〜4ヶ月です。お金だけでなく何かきっと得られるものがあるのではないでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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