【海外ハイク】モロッコトドラ渓谷ハイキング

トドラ渓谷ハイキング

現在2024年10月より世界一周旅行をしております。本当は他にも書く内容がたくさんあるのですが、記憶が新しいうちに12月中旬のモロッコ・トドラ渓谷でのハイキングの様子をお伝えします。まるで別の星を歩いてるような絶景が広がっていてハイキング好きにはおすすめです。しかし道がわかりにくいので参考にしていただけるとうれしいです。

※この情報は2024年12月のものですので最新の情報はご自身でご確認ください。またハイキングの安全はご自身で確保してください。

モロッコってどこ?トドラ渓谷って?

モロッコアフリカ北東部に位置する国です。アラブ世界でありながらも地中海に面しており、ヨーロッパの文化も融合しています。ジブラルタル海峡を挟んでスペインとは約14kmほどしか離れておらず、フェリーでわずか1時間ほどです(私もこのフェリーを利用しました)。

トドラ渓谷はモロッコを北東から南西に縦断しているアトラス山脈の東側に位置しています。石灰石が川の流れによって深く削られた渓谷は景勝地として知られており、モロッコ国内外から多くの観光客が訪れる場所となっています。

私はこのトドラ渓谷にある村に3泊滞在し、ハイキングや村の散策などをして過ごしました。

トドラ渓谷ハイキング

トドラ渓谷はロッククライミングの場所として有名です。またハイキングする場所としても知られており、特に海外からの観光客が訪れます。正式な名称かはわかりませんが「Todra Gorge Loop Hike(トドラ渓谷ループハイク)」と呼ばれているハイキングルートがあり、約11km高低差約600mの周回ルート約4時間ほどかかります。ロンリープラネットモロッコ版でも「The Todra Loop」として紹介されています。

といってもこのルートは正式なハイキングルートというよりは、現地の遊牧民(ノマド)が利用している生活路をたどる感じで、実際ノマドの集落も通過します。なので看板などはなく人が歩いた形跡などはありますが、迷いやすいルートです。ですが私は一人で歩きました。迷いそうなところはありましたが、注意深く歩けば難しくもありませんでした。

ハイキングマップ

まずはネットで地図を探したのですが、正式なものは見当たらず誰かが歩いた記録(外部サイト英語)からうかがい知ることしかできませんでした。そこでトドラ渓谷の宿(正確には渓谷手前にある村の宿)に着いた日に宿のオーナーに聞いてみると「明日地図を渡すよ」と心強い言葉をもらい、安心してその日は眠りにつきました。

翌朝いざハイキングに行こうとオーナーに地図をもらおうとすると、おもむろにそこら辺にあった裏紙を手に取りペンで地図を書き始めました。私はてっきり印刷されたものがあると思い意表をつかれたのですが、オーナーは説明しながら地図を描いていくので集中して耳を傾けます。そして渡されたのがこの地図。

渡された手書きの地図

まずは右下の横線が並んでいるところからスタートです。この横線はトドラ渓谷を過ぎた後にある「階段」を示しています。どうやら登っていくと「Square(広場)」がありここを「Left(左)」に進みます。「5min(5分)」歩いて谷(点線)から外れ「Right(右)」に進みます。「Nomad(ノマド)」の集落を通過し、しばらくして「Left(左)」に進み「Village(村)」に戻ってくる、という感じです。非常にざっくりとしています。

果たしてこの地図で行けるのかと不安になりましたが、迷ったら戻ればいいと思い出発。ペットボトルの水と食べきれなかった前日の夕食とこの日の朝食の残りをランチとして持って行きました。もちろんながらハイキングルートに店などはありません。村には小さなスーパーがいくつかあるのでそこで買うこともできます。

宿を出発。この日は快晴

①まずは渓谷へ

まずは宿を出発。道路ではなく川の畑沿いを渓谷の方へと歩いて行きました。川の水は透き通って綺麗で、オリーブの木々を抜けていく気持ちのいい散策路です。途中多くのツアー客とすれ違いました。川沿いに広がる緑の畑はオアシスと呼ばれており、赤茶けた乾いた大地の中で豊かな恵みを与えてくれているようです。畑にはおそらくケール(もしくはキャベツの一種)が育てれれていました。

川沿いのオアシスに広がる畑

オアシスから道路へ戻り渓谷へと歩いて行きます。すると目の前にはそそり立つ急峻な渓谷が…!! その狭い谷の間に川と道路が続いています。渓谷の落差は高いところでは400mほどで、約600m続いています。狭いため渓谷内は日陰でしたが景色は圧巻でした。多くのツアー客が訪れていて、お土産屋さんも並んでいました。私はそんなツアー客の間を抜けてさらに進みます。

急峻な崖がそそり立つトドラ渓谷

②階段から登る

狭い渓谷が次第に広がって行きました。そろそろ地図が示す「階段」があるはずです。

渓谷が開けてくる

すると右手に駐車場そして左手にも駐車場があり、左手の駐車場の奥に階段がありました。欧米人観光客数人が降りて来ていたので、どうやらここがハイキングルートの「登山口」のようです。

駐車場の奥に階段がある

階段はすぐに終わってしまいました。人の踏み跡をたどっていきます。ところどころケルン(人為的に石を積んで目印にしたもの)があり、それも目印にしました。

階段から先の道

私はしばらくは谷底を歩いていたのですが、上の方から声がしたので上に上がると割とはっきりとした道がありました。おそらくこれがルートのようです。階段からのルートは谷を右手にした斜面にあるようです。

登山道。右手に谷がある

渓谷の賑やかさからはかけ離れ、圧倒的に人は少ないです。途中ロバを連れたノマド民族のおばちゃんとすれ違った時私を見るなり「フォト!フォト!」と叫んできたので持っていたカメラに手をかけると「10ディラハム!」と言ってきたので写真を撮るのはやめました…。現地の人を見かけたのは数回、ハイカーに出会したのは8回ほどでした。静けさを求めるにはもってこいの場所です。次第に標高が上がり景色が広がっていきます。

登山道から見た景色

③広場へ

道が次第にジグザグになっていき、尾根が見えて来ました。すると広い場所に上がって来ました。地図で言うところの「Square(広場)」ですが、登山用語で言うところの「コルもしくは鞍部」でしょう。階段(登山口)から約1時間かかりました。

「広場」

地図ではここで「Left(左に行く)」といっているので左に行きます。石で積まれた「矢印」もあったのでそのまま進みます。道は登りが続きます。実はこの道は地図が示すところのルートではなく「山頂」へ行く道だったのです。結果として絶景が堪能できたので良かったのですが、また「広場」へ戻らなくては行けません。しかしサイドトリップとしては非常におすすめです。

「山頂」へ行く道を示す矢印

④山頂へ

登りは次第になだらかになりだだっ広いところを歩いていくと「看板」が見えてきます。

「山頂」への道

「広場」から20分ぐらいでつきました。どうやら「山頂」のようです。看板には「標高2061m」と書かれており、渓谷が標高約1400mなので約600m登ったことになります。

「山頂」にある看板

ここからの景色は最高でした。トドラ渓谷への中継地であるティンジル(Tinghir)や先の方まで見渡せました。私はここでランチを食べしばらくのんびりしていました(犬連れのハイカーがやってきて犬に懐かれて「ひとり静か」とは行きませんでしたが。それはそれで良かったですが)。

「山頂」からの景色

⑤広場を左へ

再び「広場」へ戻ります。「山頂」までの道の「(山頂から広場へ降りながら見て)右」に道がありました。これが「階段(登山口)」から登ってきて「広場」から「Left(左へ行く)」場所です。

「山頂」から戻る道から見た「広場」。道はこの「右」にある

⑥5分歩いたら右へ

谷沿いに道があり下っていきます。

「広場」から続く道

しばらくして谷から外れます。これが地図で言うところの「5min(5分)」歩いたら「Right(右へ行く)」場所のようです。そのまま谷沿いに下って行かないように気をつけましょう

「谷」を行かず「右」へ行く

⑦ノマド集落

道は斜面に斜め登りしていくような感じで続きます。しばらくすると石で人為的に積まれた壁が集まっているところがあり、どことなく生活感が漂っていました。これが地図の「Nomad(ノマド)」の集落のようです。もっと大きなしっかりした集落をイメージしていたのですが、非常にシンプルで「こんなところで生活できるのか」という感じでした。家の前でおじさんが火を起こしていたのでこれは家のようです。おじさんにジェスチャーで「道はあっち?」と尋ねると「そうだ」と(ジェスチャーで)返ってきたのでさらに進みます。

「ノマド」の集落

今度はなだらかな尾根に出ました。正直ここからは目印があまりなく辿るべき道がはっきりしていなかったのですが、遠くに踏み跡ケルンなどが見えたのでその方へ進みます。尾根からは下りになります。

「尾根」から見た景色。遠くに道があるのが見える

⑧左へ

しばらく下ると左手にトドラ渓谷の村が見えてきます。

眼下に「村」が見えてくる

すると今度は別の「広場」が見えてきました(地図には示されていませんが)。そこから道も見え、人為的に積まれた石が見えますのでそこまで降りていきます。

別の「広場」が見えてくる

この「広場」が地図で言うところの「Left(左に行く)」場所のようです。村に向かって谷沿いに道があるのが見えます。

「広場」から「村」へ続く道

ここからは道ははっきりしていてただ下りていくだけです。

「村」へ下りる道ははっきりしている

降りていくと村の外れの鉄塔へと辿り着きます。ここからの景色もよく、時間がない人や歩く自信がない人はここへ来るだけでも景色を楽しめます。

鉄塔(手前にひとつ、奥に赤白の鉄塔がひとつ)までたどり着く。ここからの眺めもいい

村に戻るにはレストラン「Restaurant Les Jardins De Todgha」が目印です。逆に反対側から歩く人や鉄塔だけに行きたい人はこのレストランを目標にするといいと思います。このレストランの入口の前(写真を撮っている方向の真後)に鉄塔への階段があります。

Restaurant Les Jardins De Todghaの入口

川を渡り宿へ戻ってきました。宿を出発して約4時間かかりました。

ハイキングマップ(加筆版)

描いてもらった地図は要点は押さえており非常に役立ちました。私が歩いてみて加筆したものを載せておきます。青字がオーナーが描いてくれたもので、赤字が筆者が加筆したものです。

地図(赤字が筆者加筆)

地図の説明をすると次のようになります。わかりやすければよいですが…。

村(Village)からトドラ渓谷(Gorge)を抜けて駐車場(Parking)奥の「階段(横線)」
「階段」から谷(点線)を右手に登って行き1時間ほどで「広場(Square)」
「看板」のある山頂まで登り、「広場」へ再び戻って来る(サイドトリップ)
「広場」「左」下り5分ほどで谷(点線)を外れて「右」へ進む
登っていくと「ノマド」集落が見え「尾根(Ridge)」へ出る
下っていくと「広場」が見え「左」へ進む
⑦谷(点線)沿いを下っていくと「鉄塔(Tower)」に辿り着きへ戻る

トドラ渓谷の注意点

①迷いやすい

看板があるわけではないので迷いやすいです。実際迷って別の道を歩いているハイカーを見かけました。迷いそうなところはありましたが、注意深く歩けば難しくもありません。ただ踏み跡ケルンが必ずしも正しい道(行きたい道)であるとは限らないので注意が必要です。こちらにハイキングの記録(英語)があり、ほぼ同じルートを歩いてるので参考にできると思います。私はSIMは使っていなかったので電波の状況は未確認です。不安な人はガイドを雇うという選択肢もありますが、すれ違ったハイカー(ほぼ欧米人)はガイドなしで登っていました。

ケルンが必ずしも行きたい道にあるとは限らない

②天候

私が歩いた12月中旬のこの日は快晴で日中は暑いほどでした。しかしアフリカと言えどモロッコは日本とほぼ同じ緯度で朝夜冷え込みます。また数日後バスでこの付近を通った時に山の上(2000m付近)に雪が積もっているのを見かけました。冬に歩こうと思っている人は防寒着は持って行ったほうがいいでしょう。また夏はかなり暑くなることが予想されます。木がないので日影は全くありません。

別の日(12月中旬)マラケシュへ戻るバスから見た風景。アトラス山脈を越える峠(2000m)付近には雪が積もっていた

③水と食糧

ハイキングルート上には出発地点の村以外店などはありません。少なくとも水は用意したほうがいいでしょう。また一周しようとすると4〜5時間かかります。お腹が空いた時のために何か食べるものを持っていくのをおすすめします。

村には店やレストランがある

まとめ

この記事ではモロッコ・トドラ渓谷でのハイキングの様子をお伝えしました。ルートからの景色は日本で見ることのできないまるで別の星のような絶景で、正直もう一回歩いてもいいなと思いました。特に山頂は静かで数十分のんびり滞在してしまいました。絶景の中を静かにのんびりと歩きたい人にはおすすめです。

ぜひ参考にしていただけたらと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました