【スペイン巡礼】カミーノってどんな感じなの?体験談あり

私は2024年10月からスペイン巡礼をしました。この記事ではスペイン巡礼に興味あるけど「スペイン巡礼ってどんな感じなの?」という人のために概要や私の体験談をお伝えしたいと思います。

スペイン巡礼って?カミーノって?

スペイン巡礼はスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)の大聖堂へと続く巡礼路で「カミーノ・デ・サンティアゴ(Camino de Santiago/サンティアゴへの道)」と呼ばれています。カミーノというのはこの巡礼の道を指しています。

カミーノのゴールであるサンティアゴの大聖堂

この記事ではサンティアゴ・デ・コンポステラは「サンティアゴ」、カミーノ・デ・サンティアゴは「カミーノ」と呼びたいと思います。巡礼中も皆こう略して呼んでいます。

カミーノはひとつだけでなくたくさんあり、またスペインに限らずフランスやポルトガルからのカミーノもありますが、いずれもサンティアゴがカミーノのゴールです。


ヨーロッパのサンティアゴ巡礼路(出典:Wikipedia)

カミーノの歴史

ここでは簡単にカミーノの歴史についてお話しします。正直詳しくはこちらを見ていただくほうがいいです。

サンティアゴ巡礼とは | CAMINO|日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会

サンティアゴの大聖堂にはサンティアゴ、スペイン語で聖ヤコブが祀られています。聖ヤコブはキリスト十二使徒の1人です。スペインでは聖ヤコブは守護聖人であり、キリスト教のシンボルです。大聖堂には聖ヤコブの墓があり、世界各国から巡礼者が訪れています。巡礼は中世から行われており、ホタテ貝は巡礼のシンボルとなっています。

ホタテ貝はカミーノのシンボル

キリスト教徒じゃないけど歩いていいの?「歩きたい」という理由だけでいい

もちろん、宗教的な理由だけが歩く理由でなくてもいいです。欧米人もキリスト教徒でない人も歩いていました。しかもサンティアゴ到着の2、3日前に「なんでサンティアゴまで巡礼してんの?」と巡礼者と話しをすることもありました。そんな感じでいいのです。私も前項で説明したことすらわかっていませんでした(この記事を書くにあたり調べました…)もちろん歴史や背景を知っていればより深い視点でカミーノを楽しめますがそこまで知らなくても大丈夫。

巡礼者の歩く理由は様々でした。もちろん毎日ミサへ行く敬虔なキリスト教徒もいました。私のように映画に感化されて「いつか歩きたい」と思って来た人もいれば、「精神的修行のため」や「仕事をやめて考える時間がほしいから」歩いている人もいました。皆歩く理由は違えど「サンティアゴまで歩く」という共通目標があり、互いに励まし合いながら歩いていました。

カミーノのシンボルをたどっていく

カミーノと言えば一番人気のフランス人の道

スペイン巡礼をしたい」=「フランス人の道」と言っても過言ではありません。一番人気のルートで、映画や本でもカミーノと言ったら「フランス人の道」です。私もこの道を歩きました。宿などは充実していますが、夏は非常に混み合うようです。私が歩いたのは10月末から11月末のピークオフ。そこまで混んではいませんでした(その代わり宿などは閉まっていることが多い)。

こんな絶景の中を歩く

カミーノはどれくらい日数かかる?

カミーノはどこから始めてもいいのですが(ただし巡礼証明書が欲しい場合は100km以上歩く必要があります)、フランス人の道で圧倒的に多くの人が歩き始めるのがフランスのスペイン国境に近いサン・ジャン・ピエ・ド・ポー(Saint-Jean-Pied-de-port)。私もここから歩き始めました。

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーの街並み。観光地としても有名

サン・ジャン・ピエ・ド・ポーからサンティアゴまでは約770km、公式の行程表に従えば休み無しで33日かかります。この行程表に従えば1日20〜30km歩くことになります。もちろん行程表通りに歩く必要なく自分のペースで歩くことができます。1日40km歩く強者もいれば、時間があり1日10kmづつ歩く人もいました。途中の街で2泊して休んだり観光したりしていた人もいました。多くの人は行程表に従っていて、そうでない人も1、2日前後という感じでした。

フランス人の道の行程|CAMINO|日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会

私の場合は行程表より1日少ない32日でサンティアゴへ着きました(休憩日なし)。ずっと行程表通り歩いていたのですが、途中から仲良くなった巡礼者数人と行動をともにし、1日早く着かなければいけないメンバーに合わせたからです。ちなみに私はサンティアゴで2泊した後、プラス4日かけてサンティアゴから海沿いのフェニステラ(Festerra)、ムシア(Muxia)まで歩きました。

もちろん一気に全部歩く必要もなく、途中で帰りまた別の機会に再開するという人もいましたし、日数に応じて途中の街から始める人もいました。

またヨーロッパまでのフライト巡礼路までの移動を考えなくてはいけません。私は日本からパリまで飛行機で移動しパリで1泊→翌日夜行列車でサン・ジャン・ピエ・ド・ポーまで移動→サン・ジャン・ピエ・ド・ポーで1泊という感じで、日本を経った3日目に歩き始めました。なので移動もプラスで考える必要があります。

自分の確保できる日数や体力に合わせて歩くことができます。カミーノの第一歩はまず「日数を確保する」ことではないでしょうか。

私のカミーノ体験談

ここでは私のカミーノの体験談を紹介します。

まず私がカミーノに出会ったのは映画「星の旅人たち」でした。私のお気に入りの映画で何度も観ました。「いつか自分で歩いてみたい」というのがカミーノへの動機です。またハイキングが趣味でロングトレイルに興味を持ち始め、スペイン巡礼もロングトレイルとして歩き始めました。「スペインの美しい風景の中を何日間もかけて歩きたい」というのがカミーノを歩く理由でした。

映画をモチーフにしたミューラルアート

正直人との出会いは期待していませんでした。というか少し懸念事項でした。私は人見知りで人に話しかけるのが非常に億劫で、自分の英語にも自信がなかったからです(しかし英語はある程度できます)。

巡礼初日の夜にフランス人3人に囲まれ食事をすることになった時は逃げ出したかったです。しかしこの席で会った1人が巡礼で最も仲良くなる人だったのです。

いつも1人で歩いてましたが、宿へ着くと毎日同じメンバーと顔を合わせるようになります。皆いい人たちで私に話しかけてくれたり食事に誘ってくれたりしました。そして次第に仲良くなり、いつの間にか私は宿で彼らと「再会」するのが楽しみになっていたのです。

私は1人で歩き早々と宿に着いていました。休憩もろくにせず、さっさと歩きたかったのです。日本での登山の癖でしょうか。早めに宿泊地に着いてのんびりするというのが私のスタイルでした。でもどこかで「楽しんでるのか?」と疑問を持つようになりました。ただ歩くだけではもの足りなかったのです。もちろん景色は素晴らしく歩くだけでも楽しいものではありました。

次第に途中のカフェやバルで長めの休憩を取ったり、他の巡礼者と話しながら歩きました。そしてある時から仲良くなったグループと行動を共にするようになりました。歩くペースが違うのでずっと一緒というわけではありませんでしたが、歩きながらいろいろな話をしたり、途中で昼食を食べたり、夜は毎日夕食をともにしました。そしてサンティアゴの大聖堂へ着く時は皆で肩を組みながら到着。残った数人と海沿いのフェニステラまで歩きました。別れの日には目に涙を浮かべずにはいられませんでした。

カミーノが予想を遥かに超えてよいものになったのは「人との出会い」のおかげです。皆すごくポジティブなバイブスを持っていて、互いに励まし合ったり分かち合ったりとまるでファミリーのようでした。

サンティアゴまで到着した日、皆で食べて飲んだ後に大聖堂で静寂の時を過ごす。忘れられないひとコマ

カミーノに興味あるなら「絶対にやったほうがいい」

と、これが私の経験でしたが、多くの巡礼者が出会いに感動し巡礼で仲良くなった人たちをファミリーと表現していました。

私は今まで、バックパッカー旅、海外ボランティア、自転車旅行、ワーキングホリデーなどを経験してきましたが、圧倒的にカミーノは1か月という短い期間ながらも(だからこそ)非常に充実した時間でした。ここまで国籍を越えて仲良くなれたのは私にとっては初めてでした。この出会いは私に多くの自信を与えてくれたと思っています。彼らから多くのものを学べました。

もしカミーノに興味ある人がいれば「絶対にやった方がいい」とお伝えしています。国籍も年齢も関係ありません英語ができなくても大丈夫(できるにこしたことはありませんが)。必要なのは「オープンなマインドになること」ではないでしょうか(私は時間がかかりましたが)。

これからブログでは私のカミーノの経験を踏まえた記事を書いていきたいと思います。よかったら読んでいただけるとうれしいです。

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